「ラスト・キングダム」は打ち切りではなく、シーズン5で計画通り完結したドラマです。Netflixが2021年にシーズン5での終了を発表したことで「打ち切り」と誤解されましたが、制作陣は当初から5シーズン構成を想定していました。この記事では、打ち切りと言われた理由と実際の完結経緯、さらに続編映画や原作小説について詳しく解説します。
| 作品名 | ラスト・キングダム(The Last Kingdom) |
|---|---|
| 原作者 | バーナード・コーンウェル(Bernard Cornwell) |
| 連載誌 / 放送局 | BBC Two(シーズン1〜2)→ Netflix(シーズン3〜5) |
| 放送期間 | 2015年10月〜2022年3月(全5シーズン) |
| 話数 | 全46話+映画1本 |
| 打ち切り判定 | 🟢 打ち切りではない(完結済み) |
ラスト・キングダムが打ち切りと言われた理由
バーナード・コーンウェルの人気歴史小説を原作とする「ラスト・キングダム」は、9世紀のイングランドを舞台にしたドラマです。Netflixで高い人気を誇りながらも「打ち切り」というキーワードで検索されることが少なくありません。その背景には、終了発表の報じられ方や放送局の変遷など、複数の要因が重なっています。
理由1:Netflixの「シーズン5で終了」発表が打ち切りに見えた
2021年4月30日、Netflixは「ラスト・キングダム」がシーズン5をもって終了すると正式に発表しました。この発表を受けて、TVLineやDeadlineなどの海外エンタメメディアが「cancelled」という表現を見出しに使って報じたことが、混乱の発端となっています。
英語の「cancelled」は、日本語では「打ち切り」と訳されることが多い言葉です。しかし海外ドラマの報道では、制作側の意思によるシリーズ終了であっても「cancelled」と表現するケースがあります。日本のファンがこうした報道を目にしたとき、「Netflixに打ち切られた」という印象を持ってしまうのは無理もないでしょう。
実際にはNetflixの公式発表でも、シーズン5の終了と同時に続編映画の制作が告知されていました。打ち切り作品に対して、同じプラットフォームが映画の制作を発表するのは考えにくいことからも、通常の打ち切りとは明らかに性質が異なります。
Netflixでは『ストレンジャー・シングス』や『オザークへようこそ』など、人気作品がファイナルシーズンを迎える際にも同様に「終了」と報じられることがあります。日本語で「打ち切り」と聞くと視聴率低迷による強制終了を連想しますが、海外ドラマの「cancelled」は必ずしもそのニュアンスではありません。
特に「ラスト・キングダム」の場合、終了発表と同じタイミングで映画制作も告知されている点が決定的です。Netflixが作品に見切りをつけたのであれば、追加投資となる映画制作を同時に発表する理由がありません。
理由2:BBCからNetflixへの放送局移行が誤解を招いた
「ラスト・キングダム」はもともと2015年にBBC Twoで放送が始まったイギリスのドラマです。シーズン1はBBC TwoとBBC Americaで放送され、シーズン2(2017年)からはBBCとNetflixの共同制作という形になりました。
しかしシーズン3(2018年11月配信)以降は、Netflixが単独で配信権を取得する形に移行しています。この放送局の変更が、一部のファンの間で「BBCで打ち切られてNetflixに拾われた」という誤った認識につながりました。
実際にはBBCからNetflixへの移行は、ビジネス上の契約変更によるものです。Netflixが世界的に配信プラットフォームとしての存在感を強めていた時期であり、BBCとの共同制作から単独配信への移行は、Netflixがこの作品の価値を高く評価していた証拠と言えます。
似たケースとして、『デジグネイテッド・サバイバー』がABCからNetflixに移行した例がありますが、こちらは視聴率低迷による局の判断でした。一方「ラスト・キングダム」の場合は、共同制作の段階から円滑に移行しており、作品の質や人気が原因でBBCが手放したわけではありません。
なお、BBC Twoは歴史ドラマの制作に定評のあるチャンネルですが、Netflixのようなグローバル配信プラットフォームとは予算規模が異なります。「ラスト・キングダム」のような大規模な歴史ドラマを継続するにあたり、Netflixの資金力と世界配信網を活用する方が制作面でメリットが大きかったという背景もあります。
理由3:原作小説を最後まで映像化しきれなかった印象
原作であるバーナード・コーンウェルの小説シリーズ「サクソン・ストーリーズ(The Saxon Stories)」は全13巻で完結しています。ドラマのシーズン5では、そのうち10巻目までの内容がカバーされました。
残り3巻にあたる『War of the Wolf』(2018年刊)、『Sword of Kings』(2019年刊)、『War Lord』(2020年刊)は、ドラマの5シーズン構成が確定した後に出版された作品です。つまりNetflixとの契約時点では原作10巻分の映像化で物語を完結させる計画であり、後から刊行された3巻がドラマに含まれなかったのは当然の流れでした。
しかしドラマだけを視聴したファンにとっては、「原作はまだ続きがあるのにドラマは終わった」という事実が「途中で打ち切られた」という印象につながったと考えられます。特に原作の最終巻『War Lord』は主人公ウートレッドの物語の真の結末を描いており、ドラマ版のラストとは異なる展開があります。
ただし、この残り3巻分の内容は2023年4月に公開された映画『Seven Kings Must Die(死すべき7人の王)』で補完されています。制作陣は「ドラマ5シーズン+映画1本」という形で原作全体をカバーする構想を持っていたのです。
ラスト・キングダムが打ち切りではない根拠
打ち切りと誤解されがちな「ラスト・キングダム」ですが、終了が計画的であったことを示す根拠は複数あります。制作陣の発言、映画の制作経緯、そしてファンからの評価を見ていきましょう。
制作陣と主演俳優が当初からの計画だったと証言している
主演のアレクサンダー・ドレイモン(ウートレッド役)は2021年11月のインタビューで、シリーズ終了の経緯について詳しく語っています。ドレイモンによれば、「撮影を始めた時点でバーナード・コーンウェルの小説が10巻あり、シーズン5が最終シーズンになるよう最初から構成していた」とのことです。
エグゼクティブ・プロデューサーのナイジェル・マーチャントも、「シーズン5で物語の2つの中心的な筋が交わり、TVシリーズとしてはここが自然な終了点だった」と明言しています。さらにマーチャントは「まだ伝えたい物語がある」とも述べ、映画版への布石を打っていました。
制作の最初期から完結地点が決まっていたという点で、視聴率や採算の悪化による打ち切りとは明確に異なります。物語のゴールを見据えた上での計画的な完結でした。
シーズン5終了後に映画が制作・公開された
シーズン5の終了と同時期に、続編映画『ラスト・キングダム:死すべき7人の王(Seven Kings Must Die)』の制作が発表されました。撮影は2022年3月19日にクランクアップし、2023年4月14日にNetflixで配信が開始されています。
映画の上映時間は約111分で、原作小説の残り3巻分のエピソードを凝縮した内容となっています。主要キャストもドラマ版から引き続き出演しており、制作体制に断絶はありません。
打ち切り作品であれば、シリーズ終了後に同一キャスト・同一スタッフで追加の映画が制作されることは通常考えにくいでしょう。映画の存在自体が、「ドラマは5シーズンで区切り、残りの物語は映画で描く」という明確なプランがあった証拠です。
ファンからの高評価が最終シーズンまで続いた
日本の映画・ドラマレビューサイトFilmarksでは、シーズン1が4.0点(685件のレビュー)という高い評価を獲得しています。映画版『死すべき7人の王』にも514件のレビューが寄せられており、完結後もファンからの関心が続いていることがわかります。
海外の評価を見ても、IMDbでのシリーズ平均スコアは高水準を維持しています。視聴者の支持が最後まで衰えなかった作品であり、人気の低迷が終了の原因ではなかったことは明らかです。
全5シーズン・46話に加えて映画1本という構成は、海外ドラマとしては十分なボリュームです。2015年の放送開始から2023年の映画公開まで、8年にわたってコンテンツが供給され続けたこと自体が、プラットフォームと視聴者の両方から支持されていた証拠でしょう。
なお、Netflixでは視聴データが低い作品はシーズン2〜3で打ち切られるケースが多いことでも知られています。5シーズンまで更新が続き、さらに映画まで制作された「ラスト・キングダム」は、Netflixの中でも長寿作品の部類に入ります。
ラスト・キングダムの原作者の現在
原作小説「サクソン・ストーリーズ」を執筆したバーナード・コーンウェルは、イギリスを代表する歴史小説家です。1944年生まれで、80歳を超えた現在も精力的に執筆活動を続けています。
バーナード・コーンウェルの最新作と活動状況
コーンウェルは「ラスト・キングダム」の原作以外にも60作以上の歴史小説を発表しています。代表作の一つである「シャープ(Sharpe)」シリーズでは、2025年10月21日に最新作『Sharpe’s Storm』を出版しました。
この最新作はシャープ・シリーズの第19作にあたります。コーンウェル自身が「最後のシャープ作品になるかもしれない」と語っていますが、執筆にあたっては歴史考証の整合性に苦労したエピソードも明かしており、作品の質へのこだわりは健在です。
次の2作品についても構想があることを公言しており、2025年秋にはロンドンで講演イベントにも登壇しています。引退の予定はなく、今後も新作が期待される状況です。
原作「サクソン・ストーリーズ」シリーズについて
ドラマの原作である「サクソン・ストーリーズ(The Saxon Stories)」は、2004年の第1巻『The Last Kingdom』から2020年の第13巻『War Lord』まで、16年かけて完結した大河歴史小説シリーズです。9世紀のイングランドを舞台に、デーン人に育てられたサクソン人の戦士ウートレッドの生涯を描いています。
原作小説は全13巻すべてが英語の電子書籍で入手可能です。ドラマ版では1シーズンあたり原作2巻分を映像化しており、映画『Seven Kings Must Die』で残り3巻分がカバーされたことで、原作の物語は映像作品としても完結を迎えました。
ラスト・キングダムの見る順番と配信情報
「ラスト・キングダム」を初めて視聴する場合は、シーズン1から順番に見るのが基本です。以下にシリーズ全体の視聴順をまとめました。
| 順番 | タイトル | 話数 | 配信年 |
|---|---|---|---|
| 1 | シーズン1 | 全8話 | 2015年 |
| 2 | シーズン2 | 全8話 | 2017年 |
| 3 | シーズン3 | 全10話 | 2018年 |
| 4 | シーズン4 | 全10話 | 2020年 |
| 5 | シーズン5(ファイナル) | 全10話 | 2022年 |
| 6 | 映画:死すべき7人の王 | 111分 | 2023年 |
全シーズンおよび映画版はNetflixで配信中です。シーズン1〜2はもともとBBC Twoで放送されましたが、現在はNetflixですべてのエピソードを視聴できます。各話約60分で、一気見にも適したボリュームです。
ドラマは全5シーズンで46話あるため、まとまった視聴時間が必要です。各シーズンは8〜10話構成で、1話あたり約60分。シーズン1〜2はBBC制作のため、シーズン3以降のNetflix制作分とはやや雰囲気が異なりますが、ストーリーは一貫して繋がっています。
映画『死すべき7人の王』はドラマのシーズン5を見終えた後に視聴するのが前提です。ドラマ版の結末からの続きとなるため、映画だけを単独で見るとストーリーが理解しにくい構成になっています。
ドラマを視聴してさらに深く楽しみたい方には、原作小説もおすすめです。バーナード・コーンウェルの「サクソン・ストーリーズ」シリーズは全13巻で完結しており、ドラマでは描ききれなかった戦闘シーンの迫力やキャラクターの内面描写が詳細に書かれています。

