『ゆりあ先生の赤い糸』は打ち切りではなく、全11巻で完結済みの作品です。ドラマ版の視聴率低迷や、作品テーマへの賛否が「打ち切り説」の原因とみられています。この記事では、打ち切りと誤解された具体的な理由と、漫画賞2冠の実績を含めた根拠を詳しく解説します。
| 作品名 | ゆりあ先生の赤い糸 |
|---|---|
| 作者 | 入江喜和 |
| 連載誌 | BE・LOVE(講談社) |
| 連載期間 | 2018年5号〜2022年10月号 |
| 巻数 | 全11巻(全63話) |
| 打ち切り判定 | 🟢 打ち切りではない(完結済み) |
『ゆりあ先生の赤い糸』が打ち切りと言われた理由
『ゆりあ先生の赤い糸』は漫画・ドラマともに完結しており、打ち切りの事実はありません。しかし、ネット上では「打ち切りでは?」という声が散見されます。その背景には主に3つの理由があり、いずれもドラマ化をきっかけに広まったものです。
理由1:ドラマ版の視聴率が低迷した
打ち切り説が広まった最大の要因は、2023年10月からテレビ朝日「木曜ドラマ」枠で放送されたドラマ版の視聴率低迷です。主演に菅野美穂を起用し、木戸大聖・鈴木亮平らが共演するなど豪華キャストで注目を集めて始まった本作ですが、初回の世帯視聴率7.9%から回を追うごとに数字が下がっていきました。
第2話は6.3%、第3話は6.0%と右肩下がりが続き、第4話・第5話は5.9%まで落ち込みました。中盤の第6話でやや持ち直したものの6.5%にとどまり、最終話(第9話)は5.5%と番組ワーストを記録しています。全9話を通じた平均世帯視聴率は約6.2%でした。
テレビ朝日の木曜ドラマ枠は『ドクターX』シリーズなど高視聴率作品を輩出してきた枠です。そのため、平均6%台という数字は同枠としては低調と言わざるを得ません。「視聴率が悪くて打ち切られたのでは」という憶測が広がった背景には、この枠への期待値とのギャップがあったと考えられます。
特にSNSでは放送中から「視聴率ヤバい」「打ち切りになるのでは」といった投稿が散見されました。毎週の視聴率が報道されるたびにネガティブな話題が広がり、「ゆりあ先生の赤い糸 打ち切り」という検索が増えた可能性があります。
ただし、ドラマは全9話を予定通り放送しきっており、途中で打ち切られた事実はありません。そもそもドラマの視聴率と原作漫画の「打ち切り」は別の問題です。原作漫画はドラマ放送より1年以上前の2022年10月に完結しています。
近年のドラマは地上波の世帯視聴率だけでなく、TVerなどの見逃し配信やサブスクでの視聴も増えています。世帯視聴率だけを根拠に「失敗作」と断じるのは、現在のテレビ事情を踏まえると適切ではないでしょう。
理由2:年の差恋愛や重いテーマが賛否を呼んだ
『ゆりあ先生の赤い糸』は、介護・不倫・年の差恋愛・性的マイノリティ・コロナ禍といった重い社会テーマを正面から扱った作品です。物語の中心となる主人公・ゆりあは50歳の書道教室講師で、夫のゴローが倒れたことをきっかけに人生が大きく揺れ動いていきます。
特に議論を呼んだのが、ゆりあと年下の男性・優弥との恋愛関係です。中年女性と若い男性の恋愛という設定に対して、一部の読者や視聴者からは「気持ち悪い」「不快」という拒否反応が寄せられました。ネット上で「ゆりあ先生の赤い糸 気持ち悪い」が検索されるほど、好みが大きく分かれたテーマでした。
また、夫・ゴローがくも膜下出血で倒れた際に若い愛人・リンクの存在が発覚するという導入部も衝撃的です。「夫の不倫」「夫の介護」「自分自身の恋愛」という複数の重い要素が同時に押し寄せる展開は、読者にとって負荷の大きい作品だったことは間違いありません。
こうした強いネガティブ反応が「読者が離れて打ち切られたに違いない」という思い込みにつながったと考えられます。作品を読まずに「気持ち悪い」という評判だけを聞いた人が、打ち切りと結びつけて検索するケースも少なくないでしょう。
しかし実際には、この挑戦的なテーマ設定こそが高い評価を受けた理由でもあります。「このマンガがすごい!2020」オンナ編で第8位にランクインし、さらに講談社漫画賞・手塚治虫文化賞を受賞するなど、連載中から業界内での評価は一貫して高い作品でした。賛否が分かれるテーマに挑んだからこそ読者の心に刺さる作品となったのであり、内容への好き嫌いと打ち切りの事実は分けて考える必要があります。
理由3:ドラマが全9話と短めに感じられた
ドラマ版は全9話で完結しました。近年の連続ドラマは全10〜12話で構成されるケースが多いため、「話数が少ないのは途中で打ち切られたからでは?」と疑う視聴者もいたようです。
しかし、テレビ朝日の木曜ドラマ枠は全9話で終了する作品も珍しくありません。放送話数は番組編成やクールの都合で決まるものであり、話数だけで打ち切りと判断するのは早計です。
原作漫画は全11巻・63話という分量がありますが、ドラマ版はそのすべてを映像化したわけではありません。原作の主要エピソードを全9話に収まるよう再構成しており、ドラマオリジナルの展開も含まれています。原作とドラマで最終回の内容が異なる点からも、最初から9話完結を前提に脚本が書かれていたことがわかります。
介護ポストセブンなどのメディアでも最終話の考察記事が掲載されており、「コロナ禍を超えて、もっと自分を大事に生きてもいいというメッセージが響いた」と評されています。打ち切りで無理やり終わらせた作品に対して、こうした丁寧な考察が書かれることは考えにくいでしょう。
ドラマの最終話では主人公ゆりあの新たな旅立ちが描かれ、物語としてしっかりと区切りがつけられています。SNS上でも「めっちゃ泣けた」「ハッピーエンドでよかった」「優弥ロス」といった反応が多数見られ、突然打ち切られたような終わり方ではありませんでした。
『ゆりあ先生の赤い糸』が打ち切りではない根拠
ここまで打ち切り説が生まれた理由を解説しましたが、本作が打ち切りでない根拠は客観的事実から明確に示すことができます。連載状況・受賞歴・メディア展開の3つの観点から検証します。
BE・LOVEで約4年半・全63話にわたり連載が続いた
原作漫画は講談社の女性向け漫画誌『BE・LOVE』にて、2018年5号から2022年10月号まで連載されました。連載期間は約4年半・全63話・全11巻という十分なボリュームです。
打ち切り作品は通常、1〜5巻程度で終了するケースが大半です。全11巻という巻数は、BE・LOVEに連載される女性向け漫画としては中堅以上の長さにあたります。同誌の連載作品の中でも長期連載の部類に入るでしょう。
最終話は2022年9月1日発売の「BE・LOVE」10月号に掲載されました。連載開始から一貫して同誌で完結まで描き続けられており、掲載誌の移籍や突然の打ち切りといった不自然な動きは一切ありません。最終話の掲載号では、作者の入江喜和から完結記念のコメントも寄せられています。
講談社漫画賞と手塚治虫文化賞の2冠を達成
本作は2021年に第45回講談社漫画賞(総合部門)を受賞しています。講談社漫画賞は出版社が主催する看板賞であり、連載中の話題作から選出される権威ある賞です。打ち切りが決まっている作品に授与されるものではありません。
さらに2023年4月には、第27回手塚治虫文化賞「マンガ大賞」を受賞しました。手塚治虫文化賞は朝日新聞社が主催するマンガ賞で、マンガ大賞はその最高位にあたります。授賞式は2023年6月8日に東京・浜離宮朝日ホールで行われました。
講談社漫画賞と手塚治虫文化賞マンガ大賞の2冠を達成している漫画は多くありません。過去の受賞作には『SLAM DUNK』『ちはやふる』『ゴールデンカムイ』など、いずれも高い完成度で完結した作品が名を連ねています。この受賞実績は、出版業界全体から作品の質と社会的意義が認められた証拠です。打ち切り作品がこれらの賞を受賞することは考えられないでしょう。
テレビ朝日でのドラマ化が商業的評価を裏付けている
2023年10月には、テレビ朝日系「木曜ドラマ」枠で菅野美穂主演によるドラマ化が実現しました。菅野美穂はトップ女優であり、テレビ朝日のゴールデン・プライム帯の連続ドラマ枠での主演という大きなプロジェクトです。
地上波の連続ドラマ化は、出版社・テレビ局・制作会社の間で長期間にわたる交渉と企画を経て実現するものです。打ち切り作品がこの規模のドラマ化に至ることは通常ありえません。ドラマ化が実現した時点で、原作に十分な商業的価値があると判断されていたことは明らかです。
なお、ドラマの視聴率こそ低調でしたが、レビューサイトFilmarksでは2,800件以上の感想が投稿されるなど、視聴者からの反応は決して少なくありませんでした。介護やLGBTQといった社会的テーマを地上波ドラマで正面から扱ったことの意義を評価する声も多く見られています。
加えて、ドラマの配信はTELASAやTVerでも行われており、リアルタイム視聴率には表れない視聴者層が存在します。テレビ朝日がこの企画を成立させた判断自体が、原作の評価の高さを物語っています。
『ゆりあ先生の赤い糸』の作者・入江喜和の現在
作者の入江喜和は『ゆりあ先生の赤い糸』の完結後も精力的に活動を続けています。ベテラン漫画家としてのキャリアと、最新の動向を紹介します。
入江喜和の次回作『みっしょん!!』をBE・LOVEで連載中
入江喜和は『ゆりあ先生の赤い糸』と同じ講談社の『BE・LOVE』誌上で、新連載『みっしょん!!』を2023年から連載しています。単行本は既刊5巻が発売中です。
『みっしょん!!』は、54歳の主婦・庵未知が小さな書店を営みながら暮らす日常を描いた作品です。認知症が進む母との生活の中で、謎のポルシェに乗る女性との出会いをきっかけに自動車免許の取得を目指すというストーリーで、入江喜和らしい「大人の女性の再出発」がテーマになっています。
『ゆりあ先生の赤い糸』でも描かれた介護や中年女性の生き方というテーマを引き継ぎつつ、より軽やかなタッチで新たな物語を展開しています。作者が打ち切りではなく同じ掲載誌で円滑に次回作へ移行していることからも、前作が計画通りに完結したことがうかがえます。
30年以上のキャリアを持つベテラン漫画家
入江喜和は1991年に『杯気分!肴姫』で連載デビューしたベテラン漫画家です。下町を舞台にした人間ドラマを得意としており、中年以上の女性を主人公に据えた作品が多いのが特徴です。
代表作には、シングルマザーを描いた『のんちゃんのり弁』(1997年にドラマ化、2009年に映画化)、足掛け8年にわたって連載された全17巻の『おかめ日和』、ロックバンドにハマるバツイチ中年女性を描いた『たそがれたかこ』などがあります。
『ゆりあ先生の赤い糸』は、こうした30年以上にわたるキャリアの集大成ともいえる作品でした。過去作で培った「等身大の女性の人生を描く力」が最大限に発揮された結果、講談社漫画賞と手塚治虫文化賞の2冠という形で評価されたのです。作者は現在も同じ方向性で新作を発表し続けています。
『ゆりあ先生の赤い糸』を読むなら電子書籍がお得
『ゆりあ先生の赤い糸』は全11巻で完結済みのため、今から読み始めても最後まで一気に楽しめます。単行本は1冊あたり500〜700円程度で、全巻購入すると6,000〜7,000円ほどになります。
電子書籍であればセールやクーポンを活用することで、紙の単行本より安く購入できるケースが多いです。まとめ買い割引が適用される電子書籍ストアも増えているため、全巻一気読みするなら電子書籍が便利でしょう。
介護・不倫・年の差恋愛といった重いテーマを扱いながらも、講談社漫画賞と手塚治虫文化賞の2冠を達成した作品の実力を、ぜひご自身の目で確かめてみてください。「打ち切り」の噂に惑わされず読んでみると、なぜこの作品がこれほど高く評価されたのか納得できるはずです。

