日本沈没(ドラマ)の最終回がひどいと言われる理由!脚本の詰め込みとCGの評価を解説

2021年放送のドラマ『日本沈没-希望のひと-』の最終回は、脚本の詰め込みすぎやCGの質に対して「ひどい」という声が多く上がりました。移民問題に加えて感染症や環境問題まで盛り込んだ結果、収拾がつかなくなったことが批判の最大の要因です。この記事では、最終回がひどいと言われた具体的な理由と、打ち切りだったのかどうかを客観的に検証します。

作品名 日本沈没-希望のひと-
原作 小松左京『日本沈没』(1973年)
連載誌 / 放送局 TBS系列(日曜劇場)
放送期間 2021年10月10日〜12月12日(全9話)
主演 小栗旬(天海啓示 役)
脚本 橋本裕志
打ち切り判定 🟢 打ち切りではない(全9話完走)

日本沈没の最終回がひどいと言われる理由

『日本沈没-希望のひと-』は2021年10月クールの日曜劇場として放送され、平均世帯視聴率15.8%を記録した注目作でした。しかし最終回(第9話・2時間3分SP)の放送後、SNSを中心に「期待はずれだった」「結局何が言いたかったのか分からない」という声が多数上がっています。

理由1:脚本の詰め込みすぎで何が主題か分からなくなった

最終回で最も批判が集中したのは、2時間3分という拡大枠にあまりにも多くのテーマを詰め込んだ点です。日本が沈没するという本筋に加え、関東沈没による首都機能の移転、海外への移民問題、さらには移民先での感染症の発生まで描かれました。

特に視聴者を困惑させたのが、終盤で突如登場した感染症のエピソードです。日本沈没という壮大なテーマを扱っている最中に、さらに感染症問題が加わったことで、「何のドラマを見ているのか分からなくなった」という声が相次ぎました。

当時は新型コロナウイルスの感染拡大が社会問題となっていた時期でもあり、制作側にはSDGsや環境問題への意識があったとみられます。しかし、1話分の尺に防災・移民・感染症・環境問題を同時に盛り込んだ結果、どのテーマも中途半端な描写にとどまりました。

脚本の橋本裕志は『ショムニ』や映画『ビリギャル』などで知られる実力派ですが、本作に関しては「スポンサーの意図に忠実に従って作られた」という指摘もあり、テーマの取捨選択ができなかった可能性があります。複数のテーマを並行して描くこと自体は手法として成立しますが、最終回にまとめて消化しようとした構成には無理がありました。

同じ日曜劇場の『半沢直樹』や『下町ロケット』が一貫したテーマで視聴者を引きつけたのに対し、本作は「沈没」「政治」「移民」「感染症」「環境」と焦点が分散してしまっています。最終回に限らず、シリーズ全体を通じてテーマの絞り込みが不十分だったという指摘は的を射ているでしょう。

理由2:CGの品質が物語のスケールに追いついていなかった

「日本沈没」というタイトルが示すとおり、このドラマの見どころは日本列島が海に沈んでいく映像表現にあります。しかし最終回で描かれた沈没シーンのCGに対しては、「チープすぎる」「映画のような迫力を期待していたのに残念」という声が数多く寄せられました。

東京が水没していくシーンや、フォッサマグナの崩壊によって本州が分断される場面は物語のクライマックスであり、視聴者が最も映像の完成度を期待するポイントです。しかし実際に放送されたCGは、災害の深刻さを伝えるには不十分なクオリティだったと評価されています。

テレビドラマの制作費と映画の制作費には大きな差があるため、映画並みのCGを求めるのは酷だという擁護意見もあります。実際、2006年公開の映画版『日本沈没』は製作費約20億円をかけてVFXを作り込んでいました。テレビドラマの予算でこれに匹敵する映像を実現するのは現実的には難しいでしょう。

ただし問題は、CGの質そのものだけではありません。作品全体が壮大なスケールの物語を志向しているにもかかわらず、映像面がそのスケールに追いついていないというギャップが、視聴者の失望感を大きくしました。期待値が高い作品ほど、映像表現の粗さが目立ってしまうという構造的な問題があったといえます。

理由3:緊迫感のない人物描写と展開の矛盾

最終回に対する批判として見逃せないのが、登場人物の行動と状況設定のあいだに生じた矛盾です。東京の半分が水没し、日本列島が沈みつつあるという危機的状況でありながら、主要人物たちから緊張感が伝わってこないという声が多くありました。

特に指摘されたのが、天海(小栗旬)と椎名(杏)の描写です。未曾有の国難のさなかに散歩デートのような場面が挿入され、「日本が沈没しかけているのにこの余裕は何なのか」と視聴者の違和感を招きました。

また、政治ドラマとしての側面が強調された結果、閣僚同士の駆け引きや政局の描写に尺を取られ、一般市民の避難や生活への影響がほとんど描かれなかった点も不満の一因です。原作小説では市井の人々の反応が丹念に描かれていますが、ドラマ版では政治家と官僚の物語に集約されています。

グループ内の仲間割れによって対策が遅れるという展開が繰り返されたことも、テンポの悪さにつながりました。視聴者からは「小競り合いはもう十分だから話を進めてほしかった」という感想が多く出ています。最終回でようやく事態が動き出す構成は、それまでの回で積み上げたフラストレーションを解消するには不十分でした。

さらに、最終回では天海が中国へ渡って「ジャパンタウン」の建設に携わるという結末が描かれましたが、この展開にも違和感を覚えた視聴者が多かったようです。日本列島が沈没するという極限状態にもかかわらず、最後はどこか淡々とした空気のまま幕を閉じた印象が残りました。

理由4:ナレーションへの違和感

本作では、状況説明や時間経過をナレーションで処理する演出が多用されました。これに対して「ドラマの映像で見せるべき内容をナレーションで済ませている」という批判が放送開始当初から上がっています。

最終回ではこの傾向がさらに顕著になり、沈没の進行状況や登場人物のその後がナレーションで矢継ぎ早に語られました。「映像作品としてのドラマを見ているというより、ドキュメンタリーの解説を聞いているようだ」という感想もあり、物語への没入感が損なわれたと感じた視聴者が少なくありません。

ナレーションに頼る構成は、限られた話数の中で壮大なストーリーを消化しなければならなかったことの裏返しともいえます。全9話で「日本列島の沈没」という巨大な物語を描ききるには、どうしても映像で見せられない部分が出てきます。結果として、ナレーションによる説明に依存する形になり、ドラマとしての完成度を下げてしまいました。

1973年の原作小説や1974年のドラマ版(全26話)は十分な尺を使って地殻変動の進行と人々の反応を段階的に描いていました。2021年版が全9話というコンパクトな構成を選んだこと自体が、結果的に「説明不足」「駆け足」という印象につながったともいえるでしょう。

日本沈没は打ち切りだったのか?

『日本沈没-希望のひと-』の最終回に対する厳しい評価から、「打ち切りだったのでは?」と疑問を持つ視聴者もいます。しかし結論として、本作は打ち切りではありません。

全9話が予定どおり放送されている

本作は2021年10月クールの日曜劇場として企画・制作されたもので、全9話が予定どおり放送されています。最終回は通常の1時間枠ではなく、2時間3分の拡大スペシャルとして放送されました。

打ち切り作品では放送枠が短縮されるのが一般的ですが、本作は逆に最終回の放送枠が大幅に拡大されています。これは局側が最終回に期待を寄せていたことの表れであり、打ち切りの兆候とは正反対です。

日曜劇場は1話から最終話まで当初の放送予定に沿って進行しており、途中で打ち切られた形跡はありません。放送スケジュール上の変更は一切確認されていません。

平均視聴率15.8%は同クールでトップクラスの数字

本作の全9話の平均世帯視聴率は15.8%で、2021年10月クールのドラマの中でもトップクラスの成績でした。初回15.8%でスタートし、第5話では番組最高の16.9%を記録しています。

最終回の視聴率は16.6%で、番組2位の高水準でフィニッシュしました。視聴率がここまで安定していた作品を途中で打ち切る理由はなく、数字の面からも打ち切り説は否定されます。

なお、第8話のみ13.5%と数字を落としていますが、これは一時的な低下であり、最終回で16.6%に回復しています。全話を通じて13%を下回った回は一度もなく、局にとっては十分な成績です。

Netflixとの同時配信も実施されていた

本作はTBSでの地上波放送に加え、Netflixでもグローバル配信が行われていました。地上波では全9話構成でしたが、Netflix版では10話に分割して配信されています。

Netflixとの同時配信が実現している時点で、作品への投資規模と期待度の高さが伺えます。国際配信を前提とした大型企画が途中で打ち切られるケースはきわめて稀であり、本作が打ち切りでないことの根拠の一つです。

Netflix版では地上波版の最終回(2時間3分SP)が2話に分割されて配信されており、配信プラットフォーム向けにも最後まで丁寧に展開されています。グローバル配信の契約が完遂されていること自体が、予定どおりの放送完了を裏付けています。

脚本家・橋本裕志の現在

『日本沈没-希望のひと-』の脚本を担当した橋本裕志は、1962年生まれの北海道出身の脚本家です。1989年にデビューし、アニメから実写ドラマまで幅広いジャンルで活動してきました。

橋本裕志の近年の活動

橋本は2021年に本作と同年に映画『そして、バトンは渡された』の脚本も手がけています。2022年には映画『月の満ち欠け』を発表し、同年に第30回橋田賞を受賞しました。受賞対象は『エアガール』と『日本沈没-希望のひと-』での脚本業績です。

その後も2024年にテレビ朝日で『スカイキャッスル』の脚本を担当しています。2026年にはテレビ朝日で『リボーン 〜最後のヒーロー〜』の放送が予定されており、現在も第一線で活動を続けています。

『日本沈没-希望のひと-』は批判を受けた一方で、橋本の脚本家としてのキャリアに大きなダメージを与えたわけではありません。橋田賞の受賞からも分かるとおり、業界からの評価は維持されています。

原作者・小松左京について

原作小説『日本沈没』の著者である小松左京は、2011年7月26日に肺炎のため80歳で死去しています。1973年に発表された『日本沈没』は上下巻合計で400万部を超える大ベストセラーとなり、日本SF文学を代表する作品です。

小松左京の死後も『日本沈没』は繰り返し映像化されており、2020年にはNetflixでアニメ『日本沈没2020』が配信され、2021年に本作がドラマ化されました。原作の知名度と影響力は現在も健在です。

日本沈没の映像化作品の見る順番

『日本沈没』は1973年の原作小説以降、複数のメディアで映像化されています。初めて触れる方はどこから見ればよいか迷うかもしれません。

映像化の時系列は、1973年の映画版(藤岡弘、主演)、1974年のTBSドラマ版(全26話)、2006年の映画版(草彅剛主演)、2020年のNetflixアニメ『日本沈没2020』、そして2021年のドラマ『日本沈没-希望のひと-』です。それぞれ独立した作品のため、どこから見ても問題ありません。

原作との比較を楽しみたい方は、まず小松左京の原作小説を読んでからドラマ版を視聴するのがおすすめです。原作を知ることで、ドラマ版がどの部分をアレンジしたのかが分かり、最終回の評価についても自分なりの判断がしやすくなるでしょう。

日本沈没を見るなら動画配信がお得

『日本沈没-希望のひと-』は全9話構成のため、一気見するのに適した作品です。最終回への批判は多いものの、政治サスペンスとしての見応えがあるという評価も一定数あり、自分の目で確かめたいという方も多いでしょう。

本作はNetflixで全話配信されており、Netflix版では全10話の構成で視聴できます。地上波版とはエピソードの区切りが異なるため、配信版のほうがテンポよく感じられるかもしれません。


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