『HUGっと!プリキュア』の最終回は、出産シーンの衝撃や伏線未回収の多さから「ひどい」と批判する声が少なくありません。子育てをテーマに掲げた意欲作でありながら、物語の構成やキャラクターの別れの描き方に不満を感じた視聴者が多かったことがその背景にあります。この記事では、最終回が批判された具体的な理由と、打ち切りだったのかどうかを検証していきます。
| 作品名 | HUGっと!プリキュア |
|---|---|
| シリーズディレクター | 佐藤順一、座古明史 |
| 放送局 | テレビ朝日系列(朝日放送テレビ制作) |
| 放送期間 | 2018年2月4日〜2019年1月27日 |
| 話数 | 全49話 |
| 打ち切り判定 | 🟢 打ち切りではない(完結済み) |
HUGっとプリキュアの最終回がひどいと言われる理由
『HUGっと!プリキュア』は2019年1月27日に最終回(第49話)を迎えました。プリキュアシリーズ第15作目として高い注目を集めた本作ですが、最終回の内容に対しては放送直後からSNSを中心に賛否が巻き起こりました。
批判の声は大きく分けて4つのポイントに集中しています。それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。
理由1:出産シーンが子供向けアニメとしては衝撃的だった
最終回で最も大きな話題となったのが、主人公・野乃はなが大人になって出産するシーンです。日曜朝の子供向けアニメで出産を正面から描いたことは、プリキュアシリーズの歴史の中でも前例がありませんでした。
ORICON NEWSでも「大人向きすぎて死んだ…」という視聴者の驚きの声が取り上げられるなど、放送直後から大きな反響がありました。子供と一緒に見ていた保護者からは「説明に困った」という声がある一方、「子供に命の大切さを教えるきっかけになった」と評価する声もあります。
さらに、作中の時代設定が2030年頃であるにもかかわらず自然分娩で描かれたことから、「未来なのに無痛分娩じゃないのか」というツッコミもSNSで話題になりました。出産という繊細なテーマを扱ったこと自体は挑戦的でしたが、子供向けアニメの枠組みの中で描くには賛否が分かれるテーマだったと言えるでしょう。
理由2:伏線が未回収のまま終わった
最終回への不満として多く挙がったのが、伏線未回収の多さです。49話という十分な話数がありながら、物語の核心に関わる謎が解決されないまま終わってしまいました。
特に問題視されたのがラスボス・ジョージ・クライの正体です。ジョージが未来の野乃はなの夫なのかどうかは、最後まで明確に語られませんでした。作中では意味深な描写が複数あったにもかかわらず、視聴者に解釈を委ねる形で終わっています。
また、ジョージがなぜ時間を止めようとしたのかという動機についても、説得力のある説明が不足していたという指摘があります。「未来への絶望」という漠然としたテーマは提示されましたが、具体的にどのような未来を見て絶望したのかが描かれませんでした。
未来の世界がどのような状態なのかという世界観自体が曖昧だったことも、物語全体の説得力を損なう要因になっています。ファンの間では放送終了後も考察が続きましたが、公式からの補足説明はなく、謎は謎のまま残されています。
理由3:ルールーとえみるの別れが切なすぎた
最終回で多くの視聴者の涙を誘いながらも、同時に「ひどい」と感じさせたのが、ルールー・アムールと愛崎えみるの別れです。未来から来たアンドロイドのルールーは、最終回で他の未来人たちと共にタイムマシン「未来へかえるくん」に乗って帰っていきます。
別れ際にルールーは「未来で待ってます」とえみるに告げました。この言葉は再会の約束として感動的でしたが、その後の展開で大きな矛盾が浮上します。2030年の未来でえみるが再びルールーに会った時、そのルールーはえみると過ごした記憶を持たない「新しいルールー」でした。
つまり、えみると共に戦い絆を深めた「あのルールー」との再会は描かれなかったことになります。プリキュアシリーズでは仲間との絆が大きなテーマであるだけに、この別れの描き方には「あまりにも救いがない」「子供向けアニメでここまで切ない別れを描く必要があったのか」という声が上がりました。
理由4:ラスボス戦の構成に納得できない声があった
物語のクライマックスであるジョージ・クライとの最終決戦についても、バトルとしての盛り上がりに欠けたという批判があります。従来のプリキュアシリーズでは、最終回付近で迫力のあるアクションシーンが描かれることが多いですが、本作ではジョージとの対話が中心となりました。
ジョージの主張は「未来に希望はない」という哲学的なもので、プリキュアたちは「未来は自分たちで変えられる」と訴えかけます。しかし、この対話が「突拍子もなく不毛」に感じられたという意見が少なくありません。
また、本作は「子育て」「ジェンダー」「多様性」といった社会的テーマを積極的に取り入れた意欲作でした。テーマの志の高さは評価されている一方で、それを1つのストーリーとして一貫性を持って描ききれたかという点には疑問が残ります。
社会的メッセージの発信とエンターテインメントとしての完成度の両立は、本作が抱えた最大の課題だったと言えるでしょう。
HUGっとプリキュアは打ち切りだったのか?
最終回への批判が多いことから、「打ち切りだったのでは?」と疑う声もあります。しかし結論から言うと、HUGっとプリキュアは打ち切りではありません。
全49話を完走しており打ち切りではない
プリキュアシリーズは毎年2月に新シリーズがスタートし、翌年1月に最終回を迎える1年間の放送枠です。HUGっとプリキュアも2018年2月4日から2019年1月27日まで、予定通り全49話を放送して終了しています。
途中で話数が削られた事実もなく、放送スケジュールに変更はありませんでした。最終回の内容に不満があったとしても、打ち切りとは全く異なる通常の放送終了です。
視聴率・売上ともに好調だった
打ち切りどころか、HUGっとプリキュアはシリーズの中でも商業的に好調な作品でした。世帯視聴率は年間平均3.5%で前年(キラキラ☆プリキュアアラモード)から0.3ポイント上昇し、KIDS視聴率も8.0%と堅調でした。
バンダイナムコのトイホビー売上は約98億円(2018年度実績)を記録し、前年比で約18億円のプラスとなりました。プリキュアシリーズ全体としてV字回復を果たした立役者とも言える数字です。
さらに、2018年10月公開の劇場版『映画HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』は興行収入約11.5億円を記録する大ヒットとなりました。打ち切りが検討されるような状況とは正反対の実績を残しています。
駆け足展開だったわけではない
「最終回がひどい」という声から「打ち切りで駆け足になったのでは」と考える人もいますが、これも事実とは異なります。全49話は歴代プリキュアシリーズと同等の話数であり、途中打ち切りによる圧縮は行われていません。
ただし、伏線未回収の多さや最終回の詰め込み感から「もう少し丁寧に描いてほしかった」という感想が出るのは理解できます。これは打ち切りの結果ではなく、49話という枠の中での構成の問題と言えるでしょう。
HUGっとプリキュアのシリーズディレクターの現在
HUGっとプリキュアのシリーズディレクターを務めたのは、佐藤順一と座古明史の2人です。それぞれベテランのアニメ監督として知られています。
佐藤順一のその後の活動
佐藤順一は『美少女戦士セーラームーン』や『おジャ魔女どれみ』の監督としても知られるベテラン演出家です。HUGっとプリキュアでは約15年ぶりにニチアサ(日曜朝)のアニメに復帰したことでも話題になりました。
HUGプリ以降は、2020年に劇場アニメ『魔女見習いをさがして』(おジャ魔女どれみ20周年記念作品)の監督を務めています。また、2021年には自身のライフワークとも言える『ARIA』シリーズの劇場版『ARIA The CREPUSCOLO』『ARIA The BENEDIZIONE』を手がけました。
現在はツインエンジンに所属し、アニメ演出家として活動を続けています。
座古明史のその後の活動
座古明史は『フレッシュプリキュア!』でもシリーズディレクターを務めた経験を持つ、プリキュアシリーズに深く関わってきた演出家です。HUGっとプリキュアでは佐藤順一と共同でシリーズディレクターを担当しました。
HUGプリ以降もアニメ業界で演出家として活動を続けていますが、シリーズディレクターとしての新たな代表作の発表は確認されていません。
HUGっとプリキュアはどこで見られる?
HUGっとプリキュアは現在、複数の動画配信サービスで視聴可能です。全49話を最初から見直したい方や、話題の最終回を自分の目で確認したい方は、配信サービスの利用が便利です。
HuluではHUGっとプリキュアの全話が配信されています。また、劇場版『映画HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』もHuluやNetflixで配信されています。
最終回の評価は分かれていますが、全体を通して見ると社会的なテーマに正面から向き合った挑戦的な作品であることは間違いありません。批判点を知った上で改めて見返すと、また違った発見があるかもしれません。

