『アルスの巨獣』の最終回は、伏線が一切回収されないまま「俺たちの戦いはこれからだ」で終わったことから、多くの視聴者に「ひどい」と評価されています。2クール分のストーリーを1クールに詰め込んだような構成が批判の最大の原因とみられています。この記事では、最終回が批判された具体的な理由と、打ち切りだったのかどうかを検証していきます。
| 作品名 | アルスの巨獣 |
|---|---|
| 作者 | 海法紀光(シリーズ構成・脚本)/オグロアキラ(監督) |
| 連載誌 / 放送局 | MBS・TBS系列「スーパーアニメイズム」枠 |
| 放送期間 | 2023年1月〜2023年3月 |
| 話数 | 全12話 |
| 打ち切り判定 | 🟡 打ち切り疑惑あり |
アルスの巨獣の最終回がひどいと言われる理由
2023年冬アニメとして放送された『アルスの巨獣』は、最終回の評価が著しく低い作品として知られています。アニメレビューサイトでも最終回に対する批判が多数を占めており、「サクガン並み」「海賊王女を超えた」など、過去の投げっぱなし最終回と並べて語られることが多い作品です。
理由1:伏線が一切回収されないまま終了した
最終回が「ひどい」と言われる最大の理由は、作中で提示された謎や伏線がほぼ全て未回収のまま終わったことです。「審判の時」と呼ばれる世界の危機が迫る中、物語は核心に触れることなく幕を閉じました。
作品の世界観では、巨獣と呼ばれる巨大生物がなぜ存在するのか、主人公クウミが持つ「カンナギ」の力の全貌は何なのか、そして巨獣ハンター・ジイロの過去に何があったのかなど、序盤から多くの謎が提示されていました。1クール12話のアニメであれば、通常は後半にかけてこれらの謎が一つずつ解き明かされていくはずです。
しかし第12話の時点で、これらの謎にはほとんど回答が示されませんでした。それどころか、最終回で「審判の時」という新たな大規模イベントが始まり、世界の危機がさらに深まるという展開を見せました。視聴者からは「謎要素が一つも解消されていない」「最終回なのに新しい謎が増えている」という困惑の声が多く上がっています。
物語の根幹に関わる設定が放置されたまま終わったことで、毎週追いかけてきた視聴者ほど「12話分の時間を返してほしい」という強い不満を感じる結果となりました。オリジナルアニメは原作がないため、アニメが終われば物語を追う手段がなく、伏線未回収の影響は原作付き作品よりも深刻です。
理由2:最終話で唐突に新キャラクターが登場した
最終回では、それまで一切登場していなかった新キャラクターが複数追加されるという異例の展開がありました。通常、最終話は物語を収束させる回であり、新たな登場人物を増やすタイミングではありません。にもかかわらず、本作では最終話で世界観を広げるような人物が次々と姿を見せました。
これは明らかに続編を前提とした構成です。新キャラクターたちの素性や目的はほとんど説明されないまま、物語に関わり始めます。1クール完結のアニメとしてはストーリーが破綻しており、視聴者は完全に置き去りにされた形です。
「まるで2クール目の第1話のような最終回だった」という指摘が多く見られました。物語を畳むどころか広げたまま「完」のテロップが表示されるという構成は、2023年冬アニメの中でも特に批判を集めたポイントです。
過去にも『サクガン』(2021年)や『海賊王女』(2021年)など、オリジナルアニメの最終回が投げっぱなしと批判された例はありますが、本作はそれらと同列、あるいはそれ以上にひどいという評価を受けました。最終話で新要素を追加して終わるという手法は、続編が確定していない限り視聴者にとって裏切りに等しい行為です。
特に本作の場合、2期の制作が発表されていない状態でこの終わり方をしたため、「風呂敷を広げるだけ広げて畳まずに終わった」という印象がより強くなりました。
理由3:戦闘シーンの単調さと作画の不安定さ
最終回の戦闘シーンに対しても厳しい評価が寄せられました。「審判の時」という大きなイベントの中で巨獣との戦闘が描かれましたが、赤い目の巨獣に対して全員が同じように目を突き刺すだけという単調な描写が続き、最終回にふさわしい迫力ある戦いとは言えないものでした。
『アルスの巨獣』はもともと巨獣ハンターたちのアクションを売りにした作品です。序盤では主人公ジイロが独自の武器「クラフト」を駆使して巨獣と戦うシーンに見応えがあり、各キャラクターの個性的な戦闘スタイルが魅力の一つでした。しかし最終回ではそうした工夫がほとんど見られず、倒し方が画一的になってしまいました。
作画のクオリティにもばらつきが指摘されています。制作を担当した旭プロダクションは、他社作品の下請け(グロス請け)が中心のスタジオです。本作はDMM.comとの共同企画で元請けを担いましたが、全12話を安定したクオリティで制作するには制作体制に無理があったのではないかという声が視聴者の間で広がっています。
「スーパーアニメイズム」枠は『呪術廻戦』や『チェンソーマン』などの大型タイトルも放送される注目枠です。同じ枠の他作品と比較されることで、作画面での不満がより際立つ結果となりました。
理由4:世界観の説明不足が最後まで解消されなかった
『アルスの巨獣』は独自のファンタジー世界を舞台にしたオリジナル作品ですが、世界観の説明が全体を通じて不足していたという批判があります。巨獣が存在する理由、「カンナギ」と「ナギモリ」の契約の仕組み、各国家間の政治的関係など、物語を理解する上で必要な設定が断片的にしか提示されませんでした。
序盤は「謎が徐々に明かされていくのだろう」という期待で視聴を続けていた層も多かったようです。しかし中盤を過ぎても世界観の核心に迫る情報は少なく、最終回に至ってもその状況は変わりませんでした。
オリジナルアニメにおいて世界観の説明をどこまで行うかは難しいバランスですが、本作の場合は「説明しないまま終わった」のか「説明する予定だったが尺が足りなかった」のか、視聴者には判断がつかない状態です。いずれにしても、最終回の時点で物語の全体像が見えなかったことが、評価を大きく下げた要因の一つです。
同じ「スーパーアニメイズム」枠で放送されたオリジナルアニメには、世界観の構築に成功した作品も存在します。本作がそれらと比較されてしまうのは避けられず、設定の消化不良は最終回の「ひどい」という評判に直結しました。
アルスの巨獣は打ち切りだったのか?
最終回の完成度の低さから、「アルスの巨獣は打ち切りだったのでは?」という疑問が多くの視聴者から上がりました。公式からの明言はありませんが、状況証拠から検証していきます。
打ち切り判定と根拠
結論から言えば、放送中の打ち切りではないが、企画段階で話数が圧縮された可能性が高いという判定です。TVアニメは通常、放送前に全話数が確定しており、放送中に話数が削られることは極めてまれです。本作も全12話は予定通り放送されています。
しかし、ストーリー構成は明らかに12話で完結する設計になっていません。終盤に新キャラクターや新設定が次々と投入される展開は、当初より長い尺が予定されていたことを強く示唆しています。視聴者の間では「元々2クール(24話)を想定した企画だったが、何らかの理由で1クールに圧縮された」という説が有力です。
「スポンサーが手を引いてしまったのでぶつ切りENDになった」という指摘もネット上で見られます。オリジナルアニメの企画は出資者の意向に大きく左右されるため、制作途中での企画縮小は十分にあり得るシナリオです。ただし、DMM.comや旭プロダクションからは制作経緯について公式なコメントは出ていません。
駆け足展開だったか
最終回に至るまでの展開を振り返ると、第10話以降は明らかに駆け足でした。世界の危機「審判の時」が急展開で描かれ始め、第12話では巨大な戦闘イベントが始まったまま物語が終了しています。
通常の1クールアニメであれば、第8〜9話あたりからクライマックスに向けてストーリーが収束していくのが定石です。しかし本作は第10話以降もストーリーを拡大し続けており、1クールで完結させるつもりがあったとは考えにくい構成でした。
1〜6話のペースで丁寧に描かれた序盤のエピソードと、7話以降の急加速ぶりのギャップは、途中で話数が削られた可能性を示唆する材料の一つです。特に第12話は「よくわからないが」というセリフが劇中に登場し、視聴者の心境を代弁しているかのようだったと話題になりました。
円盤売上と商業的な結果
Blu-ray BOXの売上は低調で、初動は数百枚以下とみられています。2023年冬アニメの中でも最低クラスの売上であり、商業的には厳しい結果に終わりました。
ただし、円盤売上の低迷は「打ち切りの結果」であって「打ち切りの原因」ではありません。TVアニメの場合、円盤の発売は放送終了後になるため、放送前に話数が決まっている以上、売上が話数に影響することはありません。
2期(続編)の制作判断には影響する数字ですが、この売上で2期が制作される可能性は極めて低いと言わざるを得ません。2026年4月時点で2期の発表はなく、公式Xアカウントの更新も長期間停止しています。物語は未完のまま放置されている状態であり、今後完結する見込みも立っていません。
アルスの巨獣の脚本家・海法紀光の現在
『アルスの巨獣』のシリーズ構成・脚本を担当した海法紀光は、本作以降も精力的に活動を続けています。本作の最終回の評価は低かったものの、脚本家としてのキャリアには大きな影響はなかったようです。
海法紀光の最新作品
海法紀光は『がっこうぐらし!』の原作者としても知られるクリエイターです。漫画原作・アニメ脚本・ゲームシナリオと幅広いジャンルで活動しています。
2024年には世界的ヒットとなった『俺だけレベルアップな件』の脚本を担当しました。A-1 Pictures制作の同作は国内外で高い評価を受けており、海法紀光の脚本家としての実力が改めて示された形です。
2025年には『GUILTY GEAR STRIVE: DUAL RULERS』でシリーズ構成・脚本を担当しています。さらに漫画原作者としても、講談社「Good!アフタヌーン」にて『放課後異世界ふたり旅』、芳文社「まんがタイムきららフォワード」にて『明るいミライ』の連載を開始しており、複数の連載を同時に抱えるなど活発に活動しています。
監督・オグロアキラと旭プロダクション
監督を務めたオグロアキラは、それ以前は演出や絵コンテを中心に活動していたクリエイターです。『アルスの巨獣』が初のTVアニメ監督作品でしたが、最終回の評価が厳しかったことは残念な結果となりました。
アニメーション制作を担当した旭プロダクションは、主に他社作品の下請け制作(グロス請け)で知られるスタジオです。本作のような完全オリジナル作品の元請けは同スタジオとしては挑戦的な企画でした。DMM.comとの共同企画という形でしたが、オリジナル作品の企画力・制作体力の両面で課題が残ったといえます。
アルスの巨獣の漫画版について
アニメの放送開始と同時期に、コミカライズ版の連載がスタートしています。DMM.comが運営する漫画配信サイト「COMIC熱帯」にて、2023年1月27日から連載が始まりました。
作画は『王国へ続く道 奴隷剣士の成り上がり英雄譚』(KADOKAWA)の作画でも知られる伊藤寿規が担当しました。連載は2024年5月24日をもって終了しており、単行本は電子書籍として配信されています。
漫画版ではアニメで省略されたシーンの補完や、キャラクターの心情描写の掘り下げが行われていた部分もあります。しかし漫画版もアニメと同様にストーリーが完結しているわけではなく、物語の核心となる謎は未解決のまま連載が終了しました。
アニメ・漫画ともに未完で終わったことで、『アルスの巨獣』というIPそのものが中途半端な状態に置かれています。企画元のDMM.comはアニメ事業にも積極的に投資しているものの、本作に関しては続報がない状態が3年以上続いています。今後このIPが再び動く可能性は、現時点では低いと言わざるを得ません。

