S -最後の警官-は打ち切りではない!ドラマ・映画の不振が誤解を招いた理由

『S -最後の警官-』は打ち切りではなく、全20巻で完結した作品です。ドラマ版の視聴率低下や劇場版映画の興行不振が重なり、原作漫画まで打ち切りだったのではという誤解が広まりました。この記事では、打ち切りと言われた3つの理由と、打ち切りではない根拠を詳しく解説します。

作品名 S -最後の警官-(Sエス―最後の警官―)
作者 小森陽一(原作)/ 藤堂裕(作画)
連載誌 / 放送局 ビッグコミック(小学館)
連載期間 2009年16号〜2016年7号
巻数 全20巻
打ち切り判定 🟢 打ち切りではない(完結済み)

S -最後の警官-が打ち切りと言われた理由

『S -最後の警官-』はビッグコミックで約7年間にわたって連載された警察アクション漫画です。警視庁の特殊部隊NPS(National Police Safetyrescue)とSAT(Special Assault Team)の対立と協力を描いた本格派の作品でしたが、ネット上では「打ち切りだったのでは?」という声が見られます。

理由1:ドラマ版の視聴率が回を追うごとに低下した

2014年1月12日から3月16日にかけて、TBSの「日曜劇場」枠で実写ドラマが全10話放送されました。主演は向井理と綾野剛という豪華キャストで、初回視聴率は18.9%と好スタートを切っています。

しかし第2話以降は視聴率が下降し始め、第5話では12.1%まで落ち込みました。一度は第9話で15.4%まで持ち直したものの、最終回は12.7%で着地しています。第8話では全話中最低の11.2%を記録しており、全体の平均視聴率は14.0%にとどまりました。

「日曜劇場」は前年に『半沢直樹』が平均視聴率29.1%を記録し、社会現象を巻き起こした直後の枠です。そのため期待値が高く、平均14.0%という数字は「不調」という印象を与えやすい状況でした。2014年1月期のドラマ視聴率ランキングでは3位に入っているものの、枠の看板力を考えると物足りないと見なされたのは事実です。

また、同じ2014年1月期にはNHK大河ドラマ『軍師官兵衛』やフジテレビの『僕のいた時間』など話題作が多く、競争が激しいクールでもありました。視聴率だけを見て「失敗した」と断じるのは早計ですが、初回から最終回にかけて約6ポイントも下がった推移は、視聴者が離れていった印象を強くしたのは確かです。

この視聴率低下が「打ち切りでは」という印象につながったと考えられます。ただし、ドラマ自体は全10話が予定通り放送されており、途中で打ち切られた事実はありません。

理由2:劇場版映画が興行的に大きく振るわなかった

ドラマ終了から約1年半後の2015年8月29日、劇場版『S -最後の警官- 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE』が全国319スクリーンで公開されました。向井理・綾野剛に加えて新垣結衣も出演する、テレビドラマの映画化としては大規模な公開体制が敷かれました。

しかし公開初週末2日間(8月29日・30日)の興行収入は約2億393万円、観客動員数は約16万人にとどまり、映画観客動員ランキングでは初登場5位という結果に終わっています。319スクリーンという大規模公開に対して、この初動成績は制作側の想定を大幅に下回るものでした。

一部のメディアからは「大爆死」と報じられ、テレビドラマの映画化ブーム自体にブレーキをかけかねないほどの不振と評されました。同時期に公開された他のドラマ映画化作品と比較しても、319スクリーンという規模に見合わない興行成績だったことは否定できません。

この劇場版の失敗が大きく報道されたことで、作品全体に対するネガティブな印象が強まりました。映画の不振がそのまま「この作品はダメだった」という評価に結びつき、原作漫画にまで「打ち切り」というレッテルが波及したと考えられます。

当時は『踊る大捜査線』シリーズや『HERO』映画版など、テレビドラマの映画化が商業的に成功するケースが多く、『S -最後の警官-』もその流れに乗った企画でした。しかし結果的には、映画化したこと自体が作品のイメージダウンにつながってしまったという皮肉な構図です。

理由3:メディアミックスの不振から原作への誤解が生まれた

ドラマの視聴率低下と映画の興行不振という2つの失敗が重なったことで、作品そのものの評価が下がってしまいました。特にドラマや映画をきっかけに作品を知った層にとっては、映像作品の印象がそのまま原作の評価につながりやすい傾向があります。

原作の『S -最後の警官-』はビッグコミックという青年誌に連載されていたため、少年ジャンプや少年マガジンの作品に比べて一般的な知名度は高くありません。そのため、原作を読んだことがない層が「ドラマも映画もコケたから、原作も打ち切りだったのだろう」と推測してしまうケースが生まれました。

実際には、原作漫画はドラマ化よりも5年も前の2009年から連載が始まっており、ドラマや映画の成否とは独立して連載が継続されていました。映画公開(2015年8月)後も約半年にわたって連載が続き、2016年に完結しています。

さらに、原作漫画の掲載誌であるビッグコミックは、読者層が30〜50代の男性中心です。ドラマや映画のターゲット層とは必ずしも重ならないため、映像化の成否がそのまま原作の連載に影響するわけではありません。映像作品を見て「打ち切りだ」と感じた層と、原作を読んでいた層は別の集団であることが多いのです。

メディアミックスの商業的成果と原作漫画の連載継続は別の問題であり、映像作品の不振をもって原作が打ち切りになったと判断するのは誤りです。

S -最後の警官-が打ち切りではない根拠

打ち切り説が広まった背景は主にメディアミックスの不振にありますが、原作漫画の連載実績を見れば、打ち切り作品の特徴にはまったく当てはまりません。連載期間・巻数・最終巻の構成・メディア展開の実績から、完結作品であることは明らかです。

全20巻・約7年間の長期連載

本作は2009年16号の連載開始から2016年7号の最終回まで、約7年間にわたってビッグコミックで連載されました。ビッグコミックは月2回(毎月10日・25日頃)刊行される青年誌であり、このペースで全20巻に達するには相当な長期連載が必要です。

打ち切り作品の場合、通常は全3〜5巻程度で終了するケースが大半です。全20巻という巻数は、青年誌の連載作品としては標準的からやや長めの部類に入ります。

編集部が約7年にわたって連載枠を確保し続けていたこと自体が、作品に対する一定以上の評価があったことを示しています。青年誌ではアンケート結果だけでなく単行本の売上も重要な指標となりますが、20巻まで刊行が続いたことは商業的にも成立していた証拠です。

参考までに、同じビッグコミックで連載された作品と比較すると、全20巻という巻数は決して短くありません。ビッグコミック系列は『ゴルゴ13』のような超長期連載がある一方、10巻前後で完結する作品も多い媒体です。その中で20巻到達は作品が一定の支持を得ていた証といえます。

最終巻に描き下ろし「その後のS」を収録

2016年5月30日に発売された最終20巻には、主要キャラクターの10年後を描いた描き下ろしエピソード「その後のS」が収録されています。本編のラストではテロ組織アルタイルとの総力戦が東京湾・第二海堡を舞台に描かれ、物語としての決着がつけられました。

打ち切り作品では、最終巻に描き下ろしエピソードを追加する余裕がないのが一般的です。連載終了後にわざわざ「その後」のストーリーを描き下ろしている点は、作者と編集部の双方が物語を計画通りに完結させた上で、読者へのサービスとして追加コンテンツを用意したことを意味しています。

つまり、本編で描き切れなかったエピソードを急いで詰め込んだのではなく、本編完結後に改めて後日談を制作する余裕があったということです。これは打ち切り作品では通常見られない対応です。

ドラマ化・映画化というメディア展開の実績

本作は2014年にTBS「日曜劇場」枠でドラマ化され、2015年には劇場版映画が公開されています。「日曜劇場」は民放ドラマの中でも最も格式の高い枠の一つであり、この枠で原作として採用されたこと自体が、出版社とテレビ局が原作の実力を評価していた証拠です。

映像化の興行成績が振るわなかったのは前述の通りですが、それは映像化プロジェクトの問題であり、原作漫画の完結とは無関係です。実際に原作漫画は映画公開後もさらに約半年間連載が継続されており、映像作品の不振が原作打ち切りの原因になった事実はありません。

メディアミックスが不調でも原作連載が継続された事実は、原作自体にはビッグコミック読者からの安定した支持があったことを裏付けています。仮に映像化の不振が原因で打ち切りにされるのであれば、映画公開直後の2015年秋頃に連載終了となるはずですが、実際にはそこからさらに半年間連載が継続されています。

S -最後の警官-の作者の現在

『S -最後の警官-』は原作・小森陽一と作画・藤堂裕のコンビによる作品です。2016年の完結後、両者はそれぞれ別のフィールドで精力的に活動を続けています。

原作・小森陽一の活動

小森陽一は1967年生まれの小説家・漫画原作者・脚本家で、佐賀県伊万里市出身です。代表作は海上保安庁を題材にした『海猿』で、伊藤英明主演のテレビドラマ・映画シリーズとして大ヒットしました。海洋をテーマにした作品を得意としており、2008年には海洋に関する創作活動の功績で第1回海洋立国推進功労者表彰を受賞しています。

『S -最後の警官-』完結後は、小説『ツイン・アース』(2025年1月に集英社文庫から刊行)を発表しています。2025年3月には蔦屋書店丸の内で『ツイン・アース』のトークイベントも開催されました。

漫画原作としても『BORDER66』『ジャイガンティス』などの作品を手がけており、小説・漫画原作・脚本と多方面で活動を続けている作家です。『海猿』や『S -最後の警官-』のようなリアル路線のアクション作品に強みを持っています。

作画・藤堂裕の連載中の作品

作画を担当した藤堂裕は、『S -最後の警官-』完結後も複数の連載を抱える人気漫画家として活躍しています。

現在は『信長を殺した男〜日輪のデマルカシオン〜』(原案:明智憲三郎、秋田書店ヤングチャンピオン・コミックス、既刊9巻)を連載中です。さらに集英社のヤングジャンプ・コミックスでは『Xinobiシノビ−乱世のアウトローたち−』(既刊3巻)も同時連載しており、2誌で作品を発表し続けています。

いずれも戦国時代を舞台にした歴史漫画で、『S -最後の警官-』で培った迫力あるアクション描写の技術を歴史ジャンルで発揮しています。2誌で同時連載を続けられるのは実力のある漫画家の証であり、『S -最後の警官-』終了後もキャリアが順調に続いていることがわかります。

S -最後の警官-を読むなら電子書籍がお得

『S -最後の警官-』は全20巻で完結済みのため、一気読みに適した作品です。警察の特殊部隊同士の対立と協力を描いた骨太なストーリーが最初から最後まで楽しめます。

全20巻を電子書籍で購入する場合、1巻あたり約700円前後で、全巻そろえると約14,000円程度になります。電子書籍ストアではまとめ買いクーポンやポイント還元キャンペーンが実施されることがあるため、タイミングによってはお得に購入できます。

ドラマ版は全10話、映画版は約2時間と限られた尺の中でストーリーが再構成されていますが、原作漫画では全20巻にわたってNPSとSATの対立構造やキャラクターの背景がじっくり描かれています。映像版で気になった方は、原作を読むことでより深くストーリーを楽しめるでしょう。


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