オーストラリア発のSFドラマ「グリッチ(Glitch)」は打ち切りではなく、シーズン3をもって計画的に完結した作品です。シーズン3が最終シーズンと発表されたことや、Netflixの海外ドラマは打ち切りが多い印象があることから「打ち切りでは?」と誤解されたようです。この記事では、グリッチが打ち切りと言われた理由やシーズン3完結の経緯、制作陣の現在の活動を詳しく解説します。
| 作品名 | グリッチ(Glitch) |
|---|---|
| 制作 | トニー・エアーズ、ルイーズ・フォックス |
| 放送局 / 配信 | ABC(オーストラリア) / Netflix(国際配信) |
| 放送期間 | 2015年7月〜2019年9月(全3シーズン) |
| 話数 | 全18話(各シーズン6話) |
| 打ち切り判定 | 🟢 打ち切りではない(完結済み) |
グリッチが打ち切りと言われた理由
グリッチはオーストラリア・ビクトリア州の架空の町ユーラナを舞台に、墓地から蘇った7人の死者たちの謎を描くSFミステリードラマです。ABCで2015年に放送が始まり、Netflixが国際配信に参加したことで世界中に視聴者を獲得しました。
しかし、シーズン3をもって終了したことから「打ち切りだったのでは」という声がネット上で見られます。その誤解が広まった理由を整理します。
理由1:シーズン3が突然「最終シーズン」と発表された
グリッチの打ち切り説が広まった最大の原因は、シーズン3の制作発表時に「ファイナルシーズン」と告知されたことです。シーズン1・2と好評だっただけに、視聴者にとっては唐突な印象を受けたケースが多かったようです。
シーズン1は2015年7月にABCで全6話が放送され、シーズン2は2017年に放送されました。シーズン3は2019年8月25日にABCで放送開始、同年9月25日からNetflixで国際配信が始まっています。シーズン2からシーズン3までに約2年のブランクがあったことも、「もう続かないのでは」という不安を視聴者に与えていました。
特にNetflix経由で視聴していた海外のファンにとっては、2年間の沈黙の後に「最終シーズン」という告知が届いたため、「人気がなくて終わらされた」と受け取った人も少なくありませんでした。Yahoo!知恵袋などでも「シーズン3で完結ですか?」という質問が投稿されています。
ただし、制作側は当初からシーズン3での完結を計画していたことが後に明らかになっています。ショーランナーのルイーズ・フォックスは「常に望んでいた形で物語を終えることができた」と発言しており、打ち切りではなく意図的な完結だったことがわかります。
海外ドラマでは「ファイナルシーズン」と告知されること自体がネガティブに受け取られやすい傾向があります。しかしグリッチの場合、制作陣が物語の着地点を見据えた上での判断でした。
理由2:シーズン3の評価が賛否両論だった
グリッチのシーズン1は2016年のAACTA賞(オーストラリア映画テレビ芸術アカデミー賞)で最優秀テレビドラマシリーズ賞を受賞し、ニューヨーク・タイムズの「年間ベスト国際ドラマ トップ10」にも選出されるなど高い評価を受けていました。
しかし、シーズン3に対しては視聴者の間で評価が分かれました。特に最終話については「物語の謎がすべて解決されたとは言いがたい」「結末に説得力が欠ける」「駆け足感がある」という声が見られ、IMDbでもシーズン3の最終話は全エピソード中で最も低い評価を受けています。
このシーズン3の評価の低さが「制作側も本当は続けたかったが打ち切られたのでは」という憶測につながりました。期待が高かっただけに、最終シーズンへの不満が打ち切り説に転化した側面があります。
Filmarksの日本語レビューでも、シーズン1・2の評価に比べてシーズン3は「急ぎすぎた印象がある」「謎の回収が物足りなかった」といったコメントが目立ちます。こうした感想が「本来はもっと続くはずだったのに途中で切られた」という誤解を生みやすい土壌になったと考えられます。
ただし、評価が分かれたこととドラマが打ち切りかどうかは別の問題です。制作陣は全6話×3シーズンで完結する構成を組んでおり、物語としての結末は用意されていました。
理由3:Netflixの海外ドラマは打ち切りが多いという印象
グリッチはNetflixを通じて日本を含む世界各国に配信されたため、多くの視聴者にとっては「Netflixのドラマ」という認識が強いです。Netflixはオリジナル作品や配信作品のシーズン更新を打ち切るケースが少なくなく、その印象が影響しています。
実際には、グリッチの制作・放送の主体はオーストラリアの公共放送局ABCです。Netflixはシーズン1の好評を受けてシーズン2から国際配信パートナーおよび共同出資者として参加しましたが、番組の存続を決定する権限はABCと制作会社にありました。
Netflixが関与する海外ドラマは数多く打ち切り・終了を経験していますが、グリッチの場合はABCと制作陣の主導で終了が決まったものです。「Netflix=打ち切り」というイメージだけで判断するのは早計だったと言えます。
また、Netflixで配信されている海外ドラマの中には、視聴数の低迷を理由にシーズン途中で制作中止となったケースもあります。しかしグリッチは全3シーズン・全18話がすべて制作・配信されており、途中で打ち切られた形跡はありません。
グリッチが打ち切りではない根拠
ここからは、グリッチが打ち切りではないことを示す具体的な根拠を確認します。
制作陣が計画的に最終シーズンとして制作した
前述の通り、ショーランナーのルイーズ・フォックスはシーズン3が制作陣の意図通りの完結であることを明言しています。「物語を常に望んでいた形で終えられた」という発言は、打ち切りではなく自発的な完結を裏付ける最も直接的な証拠です。
海外ドラマでは、人気作でも制作陣の判断で「ストーリーを語り終えた」として終了するケースがあります。グリッチもまさにこのパターンに該当し、ABCや制作会社から打ち切りを宣告されたという報道・発表は一切存在しません。
オーストラリアのドラマ情報サイト「ScreenHub」のレビューでも、シーズン3が最終シーズンであることを前提とした内容となっており、「打ち切り」という文脈では報じられていませんでした。メディアの報道姿勢からも、制作側の自主的な完結だったことが読み取れます。
シーズン3の全6話は、蘇った死者たちの謎に対する結末が描かれており、物語に一定の決着がつけられています。打ち切り作品に見られるような「途中で投げ出した」展開ではありません。
シーズン1でAACTA賞を受賞した実力派ドラマ
グリッチは2016年のAACTA賞で最優秀テレビドラマシリーズ賞を受賞しています。AACTA賞はオーストラリアの映画・テレビ業界で最も権威のある賞の一つであり、この受賞はドラマとしての品質の高さを示すものです。
さらに、2016年にはニューヨーク・タイムズ紙が選ぶ「年間ベスト国際ドラマ トップ10」にも選出されました。国際的にも高い評価を受けた作品が、わずかシーズン1の段階で打ち切りに追い込まれることは考えにくいでしょう。
実際、シーズン1の好評を受けてNetflixが共同出資者として参加し、シーズン2以降の制作が実現しました。評価と支持を集めた結果として3シーズン制作されたのであり、打ち切りとは真逆の経緯です。
IMDbでのシリーズ全体の評価は7.2(10点満点)を記録しており、海外ドラマとして一定以上の支持を得ていたことがわかります。打ち切り作品であれば評価が極端に低くなる傾向がありますが、グリッチにはそうした傾向は見られません。
全3シーズン・全18話で物語が完結している
グリッチは各シーズン6話、全3シーズン合計18話で構成されています。オーストラリアのテレビドラマは1シーズンあたりの話数がアメリカのドラマに比べて少ない傾向があり、6話構成は同国の作品としては標準的です。
アメリカのドラマが1シーズン10〜22話であるのに対し、オーストラリアやイギリスのドラマは6〜8話が一般的です。全18話という総数だけを見て「少なすぎる、打ち切りだろう」と判断するのは、制作文化の違いを考慮していない誤解です。
シーズン3の最終話では、蘇った人々を巡る物語に決着がつけられています。打ち切り作品に見られるような「回収されない伏線の放置」や「唐突な終了」ではなく、結末が描かれた上で終了しています。
シーズン3の評価が分かれたのは事実ですが、それは「完結の仕方」に対する不満であり、「完結できなかった」こととは異なります。物語が最後まで描かれた時点で、打ち切り作品とは明確に区別できます。
グリッチの制作陣の現在
グリッチの制作を手掛けた主要スタッフは、グリッチ終了後も精力的に活動を続けています。
トニー・エアーズの最新作
グリッチの企画・制作を担当したトニー・エアーズは、2018年に自身の制作会社「Tony Ayres Productions(TAP)」を設立しました。TAPはその後、Netflixのスリラードラマ「Clickbait」(2021年)を制作し、世界的なヒットを記録しています。
2025年1月にはNetflixシリーズ「The Survivors」がオーストラリアのドラマ新作として発表されました。さらにABCでは、実在の毒キノコ事件を題材にしたドラマ「Toxic」(脚本:エリス・マクレディとの共作)の開発も進めています。
加えて、2025年にはオーストラリア国立博物館の評議員にも就任しており、映像業界だけでなく文化領域でも活躍の場を広げています。グリッチの終了後もNetflixやABCとの関係を維持しながら次々と新作を手掛けており、業界内での評価が高いことがうかがえます。
ルイーズ・フォックスの最新作
グリッチの共同制作者でありショーランナーを務めたルイーズ・フォックスも、グリッチ以降も多くのプロジェクトに携わっています。Channel 4(イギリス)とStan(オーストラリア)の共同制作ドラマ「CARELESS」の制作に参加しています。
2025年にはメルボルンのMalthouse Theatreで、ダフネ・デュ・モーリア原作の「鳥(THE BIRDS)」の舞台脚色を手掛けました。映像だけでなく舞台にも活動の幅を広げています。SBS、Motive Pictures(イギリス)、See Sawなど複数のプロダクションとも企画を進行中です。
グリッチの制作陣がいずれも活発にキャリアを続けていることは、グリッチの終了がネガティブな打ち切りではなかったことを間接的に示しています。打ち切りによって制作会社やクリエイターの評判が傷つくケースもありますが、両名ともグリッチの実績を足がかりにキャリアを発展させています。
グリッチはどこで見られる?配信先まとめ
グリッチは全3シーズン(全18話)がNetflixで配信されています。日本国内からも視聴可能で、字幕付きで全話を視聴できます。
Netflixのサブスクリプションに加入していれば追加料金なしで全シーズンを視聴できるため、気になった方はシーズン1の第1話から確認してみるとよいでしょう。1シーズンあたり6話と短めなので、一気見しやすい構成です。
なお、Netflixには「グリッチ」という名前のドラマが複数存在します。2022年にNetflixで配信された韓国ドラマ「グリッチ −青い閃光の記憶−」(全10話)は、チョン・ヨビン主演のSFコメディで全く別の作品です。視聴時は混同しないよう注意が必要です。
韓国版の「グリッチ −青い閃光の記憶−」もシーズン1のみで終了していますが、こちらも当初から全10話の限定シリーズとして制作されたものであり、オーストラリア版と同様に打ち切りではありません。

