『ダイバージェント』映画シリーズは、第4作『Ascendant』の制作が中止となり、シリーズ未完のまま事実上の打ち切りとなっています。第3作『ダイバージェントFINAL』の興行収入が低迷し、制作スタジオのライオンズゲートが続編制作を断念したことが直接の原因です。この記事では、ダイバージェントが打ち切りとなった具体的な理由、ドラマ化計画の頓挫、そして原作者ヴェロニカ・ロスの現在について詳しく解説します。
| 作品名 | ダイバージェント(The Divergent Series) |
|---|---|
| 原作 | ヴェロニカ・ロス『ダイバージェント』シリーズ(小説全3巻) |
| 配給 | ライオンズゲート |
| 公開期間 | 2014年〜2016年(全3作公開) |
| 主演 | シェイリーン・ウッドリー、テオ・ジェームズ |
| 打ち切り判定 | 🔴 打ち切り確定 |
ダイバージェントが打ち切りになった理由
ダイバージェント映画シリーズは本来全4作で完結する予定でした。しかし第3作の段階でシリーズが終了し、最終作は制作されないまま打ち切りとなっています。その理由を順に解説します。
理由1:第3作『ダイバージェントFINAL』の興行収入が大幅に低迷した
打ち切りの最大の原因は、2016年3月に公開された第3作『ダイバージェントFINAL』(原題:The Divergent Series: Allegiant)の興行成績が振るわなかったことです。制作費は1億1,000万〜1億4,200万ドルと見積もられていましたが、全世界での興行収入は約1億7,900万ドルにとどまりました。
映画業界では一般的に、制作費の2倍以上の興行収入がなければ利益が出ないとされています。宣伝費や配給コストを含めた総コストは約1億8,400万ドルに達しており、ライオンズゲートは本作で約5,000万ドルの損失を出したとThe Hollywood Reporterが報じています。
シリーズ全体の興行収入の推移を見ると、低迷は明らかでした。第1作『ダイバージェント』(2014年)は全世界で約2億8,800万ドルを記録し、制作費8,500万ドルに対して十分な利益を上げました。第2作『ダイバージェントNEO』(2015年)は約2億9,700万ドルとほぼ横ばいだったものの、第3作で一気に1億7,900万ドルまで落ち込んだのです。
特に北米での成績が深刻でした。『ダイバージェントFINAL』の全米オープニング週末興行収入は約2,900万ドルで、第1作の約5,400万ドルのほぼ半分にまで落ちています。公開初週末の興行ランキングでも初登場2位にとどまり、シリーズの求心力が急速に失われていたことがわかります。
この壊滅的な興行成績により、ライオンズゲートは第4作の劇場公開を断念せざるを得ない状況に追い込まれました。
理由2:原作最終巻を「前後編」に分ける戦略が裏目に出た
ダイバージェントの原作小説は全3巻で完結しています。映画版は当初、1巻につき1本の映画化で全3作の予定でした。しかし制作側は、最終巻『忠誠者(Allegiant)』を前編・後編に分割して全4作にする方針に変更しました。
この「最終作を2部作にする」という戦略は、2010〜2011年の『ハリー・ポッターと死の秘宝』や2014〜2015年の『ハンガー・ゲーム FINAL』の商業的成功に倣ったものでした。これらの先行作品は最終巻の分割によって2本分の興行収入を得ることに成功しており、ライオンズゲートはダイバージェントでも同様の成果を狙ったのです。
しかし『ダイバージェント』シリーズは先行作品ほどの圧倒的な人気基盤を持っていませんでした。分割によって1本あたりの内容が薄くなり、「前編だけ観ても物語が中途半端に終わる」という不満が観客に広がりました。
実際、『ダイバージェントFINAL』は原作最終巻の前半部分しか映像化しておらず、クライマックスとなるべき場面が後編に持ち越されていました。前編としての起承転結が弱く、「次回作ありき」の構成が観客に見透かされたことで、劇場に足を運ぶ動機が大きく薄れてしまったと考えられています。
結果として前編が興行的に失敗し、後編の『Ascendant(アセンダント)』は制作されないまま、シリーズは中途半端な形で終了することになりました。分割戦略が裏目に出た典型的な事例として、映画業界でもしばしば取り上げられています。
理由3:テレビドラマへの移行計画も頓挫した
劇場版の続編が困難となったことを受け、ライオンズゲートは2016年7月、第4作をテレビ映画として制作する代替案を発表しました。テレビ映画を足がかりに、スピンオフのテレビシリーズへ展開する構想でした。制作費を劇場映画より抑えつつ、シリーズの完結を実現するという折衷案です。
しかし2017年2月、主演のシェイリーン・ウッドリーが「テレビ映画への出演契約はしていない」と明言し、出演を拒否しました。ウッドリーの契約はあくまで劇場版映画への出演であり、テレビ作品への出演は含まれていなかったのです。シリーズの顔である主演女優が離脱の意思を示したことで、計画は大きく揺らぎます。
その後、2017年8月にはアメリカのケーブルテレビ局Starzがドラマ化の企画を進めていると報じられました。キャストを一新してテレビシリーズとして再出発する案も浮上しましたが、ウッドリー以外のキャストも続々と大型作品への出演が決まっていました。
マイルズ・テラー(ピーター役)は『トップガン マーヴェリック』等に出演、ゾーイ・クラヴィッツ(クリスティーナ役)は『ザ・バットマン』のキャットウーマン役に抜擢されるなど、オリジナルキャストの再集結は事実上不可能な状態になっていました。
最終的に2018年、Starzもドラマ化の企画を断念したことが報じられ、シリーズ完結への道は完全に閉ざされました。2026年現在も制作再開の公式発表はありません。
理由4:YAディストピア映画ブームの終焉
ダイバージェントの打ち切りには、映画業界全体のトレンド変化も影響しています。2012年の『ハンガー・ゲーム』の大ヒットを皮切りに、ヤングアダルト(YA)小説原作のディストピア映画が次々と制作されました。
しかし2015年〜2016年頃にはブームが急速に失速しています。『メイズ・ランナー』シリーズも興行収入が低下傾向にあり、『フィフス・ウェイブ』(2016年)は続編が制作されませんでした。観客が類似した設定のYA映画に飽き始めていた時期と、ダイバージェントの第3作公開が重なったのです。
ダイバージェントはこの「YAディストピア映画ブームの終焉」を象徴するシリーズとして語られることが多く、作品単体の問題だけでなく、市場環境の変化も打ち切りの一因となりました。『ハンガー・ゲーム』の成功を追いかけたシリーズが次々と失速していった2016年前後の状況を考えると、ダイバージェントだけが特別に出来が悪かったわけではなく、ジャンル全体の飽和が根底にあったと言えるかもしれません。
ダイバージェントの打ち切りに対するファンの反応
ダイバージェントの打ち切りは、原作ファンや映画ファンの間で大きな話題となりました。特に「物語が途中で終わった」という点に対する不満が中心となっています。
SNSでの評価
SNS上では「3作目まで観たのに完結しないのはひどい」「最初から分割しなければよかった」という声が多く見られます。映画だけを追っていた観客にとって、物語の結末を知るために原作小説を読むしかない状況は、大きな不満の種となっています。
特に日本のファンからは「日本公開を楽しみにしていたのに」という声もあります。第1作と第2作は日本でも劇場公開されましたが、第3作は日本では劇場未公開となり、ソフトのみのリリースとなりました。日本での知名度が限定的だった分、打ち切りの情報自体が届いていないファンも少なくありません。
一方で「興行収入を見れば打ち切りは仕方ない」「そもそも3作目の時点で作品としての勢いが失われていた」と、打ち切りをやむを得ないと受け止める意見も少なくありません。シリーズが進むにつれて批評家からの評価も下がっていたことが背景にあるでしょう。
また、原作者ヴェロニカ・ロスもこの件について触れており、「映画の最終作が作られなかったことは残念だが、自分のコントロール外のことだった」という趣旨のコメントをしています。原作小説は完結しているため、物語そのものは未完ではないという点も付言されています。
第3作『FINAL』の評価
『ダイバージェントFINAL』自体の評価も厳しいものでした。映画レビューサイトRotten Tomatoesでは批評家スコアが低く、「シリーズの中で最も退屈」「分割のせいで中身がない」といった批評が目立ちます。
映画.comやFilmarksなどの日本の映画レビューサイトでも「話が進まない」「前後編に分ける必要がなかった」という感想が多く寄せられています。前後編の前編という構造上、物語のクライマックスが用意されていないことが低評価の大きな要因です。
ただし、原作小説のファンからは「原作の世界観を映像化した功績は認める」という声もあり、シリーズ自体を全否定する意見ばかりではありません。特にシェイリーン・ウッドリーの演技やビジュアルの完成度を評価する声は根強く残っています。
ダイバージェントの原作者の現在
打ち切りとなった映画シリーズとは別に、原作者のヴェロニカ・ロスは精力的に創作活動を続けています。
ヴェロニカ・ロスの最新作
ヴェロニカ・ロスはダイバージェント三部作の完結後も、ジャンルを広げながら複数の新作を発表しています。2020年には大人向けSF小説『Chosen Ones』を刊行し、YA作家からの転身を図りました。
2025年9月には『To Clutch a Razor』を刊行しており、2026年現在も作家として活動中です。さらに2026年5月12日には新シリーズ『Seek the Traitor’s Son』の刊行が予定されています。ディストピアとファンタジーを組み合わせた長編作品とされており、新たなシリーズの第1作となる見込みです。
ダイバージェントの映画化で得た知名度を基盤に、ロスは着実にキャリアを積み重ねています。映画の打ち切りが原作者の創作活動に影響を与えることはなかったと言えるでしょう。
原作小説について
ヴェロニカ・ロスによる原作小説『ダイバージェント』シリーズは、2011年から2013年にかけて全3巻が刊行されました。第1巻『異端者(Divergent)』、第2巻『叛乱者(Insurgent)』、第3巻『忠誠者(Allegiant)』で構成されています。ほかにスピンオフ短編集『Four』も出版されています。
映画で描かれなかった物語の結末を知りたい場合は、原作第3巻『忠誠者』の後半部分を読むことで完結まで確認できます。日本語訳も角川書店から刊行されているため、入手は難しくありません。映画が未完で終わったとはいえ、原作で物語の全貌を確認できるのはファンにとって救いと言えます。
なお、原作小説は映画とはやや異なる展開を含んでおり、特に第3巻『忠誠者』は映画版と原作で視点構成に違いがあります。映画版は主人公トリスの視点のみでしたが、原作ではトリスとフォーの二人の視点で交互に語られる構成です。映画の続きとして読む場合でも、第3巻を最初から読むことで、より深く作品世界を楽しむことができるでしょう。
ダイバージェント映画シリーズの見る順番
ダイバージェント映画シリーズは以下の3作品が公開されています。公開順に観るのが基本です。
| 順番 | タイトル | 公開年 | 監督 |
|---|---|---|---|
| 1 | ダイバージェント | 2014年 | ニール・バーガー |
| 2 | ダイバージェントNEO | 2015年 | ロベルト・シュヴェンケ |
| 3 | ダイバージェントFINAL | 2016年 | ロベルト・シュヴェンケ |
3作品はストーリーが直結しているため、必ず1作目から順番に観る必要があります。第2作から観ると人物関係や世界観の設定が理解できません。
なお、第3作『ダイバージェントFINAL』は原作最終巻の前半部分に相当するため、映画だけでは物語が完結しません。結末まで知りたい場合は原作小説『忠誠者(Allegiant)』を読む必要があります。映画3作品で描かれた内容は原作1巻〜3巻前半に対応しており、3巻後半のクライマックスは映像化されていません。

