『デビルマン』の最終回は、主人公側が全滅するという少年漫画史上でも類を見ない衝撃的な結末が描かれ、「ひどい」「トラウマ」と語り継がれています。ヒロインの残酷な死や人類の滅亡といった救いのない展開が、読者に強烈な衝撃を与えました。この記事では、デビルマンの最終回がひどいと言われる具体的な理由と、打ち切りだったのかの真相、作者・永井豪の現在について解説します。
| 作品名 | デビルマン |
|---|---|
| 作者 | 永井豪 |
| 連載誌 / 放送局 | 週刊少年マガジン(講談社) |
| 連載期間 | 1972年25号〜1973年27号(全53話) |
| 巻数 | 全5巻 |
| 打ち切り判定 | 🟡 打ち切り疑惑あり |
デビルマンの最終回がひどいと言われる理由
『デビルマン』の最終回は1973年に描かれたものですが、50年以上経った現在でも「ひどい」「衝撃的」と語り継がれています。その理由は単に「悲しい結末」というレベルではなく、少年漫画の常識を根底から覆す内容だったためです。
理由1:ヒロイン・牧村美樹の残酷すぎる最期
最終回がひどいと言われる最大の理由は、ヒロインである牧村美樹の死に方です。物語の終盤、悪魔(デーモン族)の存在が人類に知れ渡ると、人々は恐怖から理性を失い「悪魔狩り」を始めます。
主人公・不動明をかくまっていた牧村家は「デーモンの一味」と疑われ、近所の住民たちが暴徒と化して襲撃しました。美樹は暴徒化した人間たちに惨殺され、その遺体は損壊された状態で晒されるという、少年誌とは思えない残酷な描写が描かれました。
牧村家の幼いタレちゃん(美樹の弟)も同様に殺害されており、読者にとって強烈なトラウマとなっています。主人公が守りたかった存在が、敵の悪魔ではなく「人間」の手によって殺されるという展開は、当時の少年漫画の読者には衝撃的すぎるものでした。
この描写は連載当時からPTAや市民団体から激しい抗議を受け、漫画排斥運動の対象にまでなりました。しかし永井豪はこの展開を変えることなく、最後まで描き切っています。
理由2:主人公が敗北し全滅するバッドエンド
少年漫画の最終回といえば、主人公が最後の敵を倒し、仲間とともに勝利するのが定番です。しかし『デビルマン』では、主人公・不動明が最終決戦で敗北し、命を落とすという結末が描かれました。
美樹の死後、不動明はデビルマンの力を持つ仲間たちを集め「デビルマン軍団」を結成します。そしてサタン(飛鳥了)率いるデーモン軍団との最終決戦「アーマゲドン」に臨みますが、デビルマン軍団は次々に倒されていきました。
最終的に明もサタンとの戦いに敗れ、その亡骸が描かれます。少年漫画で主人公が最後に死亡し、しかも敵に敗北するという結末は当時としては前例がなく、読者に「ひどい」「救いがない」という強い感情を残しました。
この「主人公が負けて終わる」展開は後の多くの作品に影響を与え、『デビルマン』はバッドエンドの先駆けとして漫画史に刻まれています。
理由3:人類そのものが滅亡する絶望的な結末
『デビルマン』の最終回が特にひどいと感じられるのは、個々のキャラクターの死だけでなく、人類そのものが滅亡してしまうという点にもあります。悪魔狩りで互いに殺し合った人類は自滅の道をたどり、最終決戦の時点ではすでに人類は滅亡しています。
物語の最後に描かれるのは、明の亡骸の傍らで涙を流すサタンの姿です。サタンはかつて人間として記憶を消した姿で明と出会い、明を愛してしまったにもかかわらず、結果的に明と人類を滅ぼしてしまいました。
戦いに勝ったサタンも、直後に神の軍勢によって滅ぼされることが示唆されており、勝者は誰もいません。「悪魔と人間の戦い」という物語のはずが、「誰も救われない」という虚無的な結末を迎えたことが、読者に深い衝撃を与え続けています。
この終わり方は「人間の愚かさ」「戦争の無意味さ」を強烈に訴えかけるものであり、単なるバッドエンドではなくメッセージ性の強い結末として評価する声も多くあります。
デビルマンは打ち切りだったのか?
『デビルマン』の衝撃的な最終回から、「打ち切りだったのでは?」という疑問を持つ読者は少なくありません。実際、連載終了の経緯には外部からの圧力が関わっていたことが知られています。
打ち切り判定:外圧による連載終了の側面
『デビルマン』の連載終了には、大きく2つの外的要因があったとされています。1つ目は、暴力描写や残酷描写に対するPTA・市民団体からの激しい抗議です。特に美樹の死や人間が悪魔化するシーンなどが社会問題となり、出版社に強い圧力がかかりました。
2つ目は、同時期に放送されていたTVアニメ版(1972年7月〜1973年3月、全39話)の終了です。「アニメが終わったのだから漫画も終わらせよう」という編集部の意向があったと言われています。
これらの事情から、永井豪が当初想定していた展開よりも早く物語をまとめざるを得なかった可能性があります。ただし、永井豪自身は物語の結末を描き切っており、中途半端に終わったわけではありません。
駆け足展開だったのか
最終盤の展開は確かにテンポが速く、悪魔狩りから最終決戦アーマゲドンまでが一気に進みます。全53話・全5巻という巻数は、物語のスケールの大きさに対してやや短い印象を受ける読者もいるでしょう。
しかし、この凝縮された展開がむしろ作品の迫力を高めているという評価も根強くあります。無駄な引き延ばしがなく、怒涛の勢いで破滅に向かう構成は、デビルマンという作品の本質と合致していると考えられています。
また、永井豪はその後もデビルマンの世界を複数の作品で描き続けています。『デビルマンサーガ』(2014年〜2020年、全13巻)では「デビルマン最終章」として新たな物語を展開し、完結させました。これらの作品の存在は、永井豪にとってデビルマンの物語が「打ち切り」で終わったものではなかったことを示しています。
累計5000万部を突破した評価の高さ
『デビルマン』は全5巻で累計発行部数5000万部(2017年3月時点)を突破しており、1巻あたりの平均部数は1000万部と漫画史上でもトップクラスの数字を記録しています。
この圧倒的な販売実績は、連載終了後も長年にわたって読み継がれてきた証拠です。単なる打ち切り作品がこれほどの部数を記録することは考えにくく、作品としての評価の高さを裏付けています。
2018年にはNetflixでアニメ『DEVILMAN crybaby』として湯浅政明監督によりリメイクされ、全世界で配信されました。50年以上経ってもなおリメイクされ続ける作品力は、打ち切りとは無縁のものです。
デビルマンの作者・永井豪の現在
『デビルマン』を生み出した漫画家・永井豪は、1945年生まれで2026年現在も活動を続けています。
永井豪の活動状況
永井豪は『デビルマン』のほか、『マジンガーZ』『キューティーハニー』『ゲッターロボ』など日本の漫画・アニメ史を代表する数々の作品を生み出してきました。
2025年秋には旭日小綬章を受章しており、漫画界への長年の貢献が国からも評価されています。また、2025年には大丸梅田店で「永井豪エキスポ」が開催されるなど、展覧会やイベントも活発に行われています。
デビルマン関連では、『デビルマンサーガ』(ビッグコミック連載、2014年〜2020年、全13巻)を完結させたほか、ダイナミックプロを通じて関連作品の監修や新プロジェクトへの関与を続けています。
永井豪の代表作とデビルマンの影響
『デビルマン』は後の漫画・アニメ作品に計り知れない影響を与えました。「天使と悪魔の戦い」という黙示録的テーマは、『新世紀エヴァンゲリオン』をはじめとする多くの作品に影響を与えたと言われています。
永井豪自身も2027年には漫画家業60周年を迎える予定であり、日本の漫画・アニメ文化の礎を築いた巨匠として、現在も精力的に活動を続けています。
デビルマンを読むなら電子書籍がお得
『デビルマン』の原作漫画は全5巻で完結しており、電子書籍なら気軽に全巻読破できます。最終回の衝撃を実際に体験したい方は、ぜひ原作漫画を手に取ってみてください。
また、復刻版として『デビルマン -THE FIRST-』(全3巻)も刊行されており、こちらは初期の週刊少年マガジン掲載時の原稿を再現した版となっています。読み比べてみるのもおすすめです。

