ドラマ『エルピス-希望、あるいは災い-』は打ち切りではなく、全10話で予定通り完結した作品です。視聴率が平均6%台と低調だったことや、企画段階でTBSに一度没にされた経緯から「打ち切り」と誤解されたとみられます。この記事では、エルピスが打ち切りと言われた理由と、実際には高く評価された作品である根拠を詳しく解説します。
| 作品名 | エルピス-希望、あるいは災い- |
|---|---|
| 脚本 | 渡辺あや |
| 連載誌 / 放送局 | カンテレ(関西テレビ)制作・フジテレビ系列 |
| 放送期間 | 2022年10月24日〜2022年12月26日 |
| 話数 | 全10話 |
| 打ち切り判定 | 🟢 打ち切りではない(完結済み) |
エルピスが打ち切りと言われた理由
『エルピス』が打ち切りだったのではないかと噂された背景には、いくつかの要因があります。ここでは代表的な3つの理由を見ていきます。
理由1:視聴率が低調だった
エルピスの世帯平均視聴率は約6.2%で、月曜夜10時枠のドラマとしては決して高い数字ではありませんでした。最終話(第10話)の視聴率も世帯5.5%・個人3.2%にとどまり、同時期の他局ドラマと比べると見劣りする結果でした。
この低い視聴率を見て「人気がなくて打ち切られたのでは?」と考える視聴者がいたとしても不思議ではありません。テレビドラマにおいて視聴率は注目されやすい指標であり、数字が低いと「打ち切り」と結びつけて考えられやすい傾向があります。
長澤まさみ・眞栄田郷敦・鈴木亮平といった豪華キャストが出演していたにもかかわらず視聴率が伸びなかった点も、「何か問題があったのでは」という憶測を呼んだ一因でしょう。冤罪や報道の自由といった重いテーマが視聴者を選んだ面はありますが、それは作品の質とは別の問題です。
ただし、視聴率が低い=打ち切りではありません。エルピスは当初から全10話の構成で企画されており、視聴率を理由に話数が短縮された事実はないのです。近年はTVerなどの見逃し配信で視聴するユーザーも多く、リアルタイム視聴率だけでは作品の人気は測れなくなっています。
理由2:TBSで企画が没になった経緯
エルピスの企画は2016年頃にスタートしました。当時TBSテレビに所属していたプロデューサーの佐野亜裕美が、脚本家・渡辺あやのもとを訪れ、日本の報道の自由や冤罪問題に対する問題意識を共有したことがきっかけです。
しかし、この企画はTBSでは実現しませんでした。佐野プロデューサーはTBS局内で企画を通そうとしましたが、テレビ局の報道部門の闇を描く内容が局側に受け入れられなかったとされています。佐野は大ヒットドラマ『カルテット』を手がけた実績がありながら、海外事業部門への異動を経て、失意のうちにTBSを退社しました。
この「TBSで没にされた」というエピソードが広く知られるようになり、「放送局から打ち切りのような扱いを受けた作品」というイメージにつながった可能性があります。企画段階で一度頓挫した事実と、ドラマ自体が打ち切りになったことは全く別の話ですが、混同されやすいポイントです。
佐野は2020年にカンテレへ移籍し、そこでようやくエルピスの企画が実現しました。約6年越しでドラマ化にこぎつけたという経緯は、むしろ制作側の強い意志を示すものです。
理由3:テーマが攻めすぎていて「放送中止」を心配された
エルピスは冤罪事件をテーマに、テレビ局内部の忖度や権力構造を正面から描いた社会派ドラマです。実在の冤罪事件を参考にしたことが放送開始時に公表され、エンディングには9冊の冤罪関連書籍が「参考資料」としてクレジットされていました。
テレビ局が自らの業界の暗部を描くという挑戦的な内容だったため、放送前から「本当に最後まで放送できるのか」「途中で打ち切りになるのでは」という声がSNS上で見られました。実際にはカンテレが制作を全面的にバックアップし、全10話が予定通り放送されています。
テーマの攻めた内容が「放送中止・打ち切り」の連想を生んだと考えられますが、これはあくまで視聴者の心配であり、実際に放送が中断された事実はありません。むしろプロデューサーの佐野は「テレビ局の恥部をなぜここまで描けたのか」というインタビューに答えており、カンテレの理解と協力のもとで制作されたことがわかります。
エルピスが打ち切りではない根拠
エルピスが打ち切り作品ではないことは、複数の客観的な事実から明らかです。
全10話で予定通り完結している
エルピスは2022年10月24日に第1話が放送され、12月26日に最終話(第10話)が放送されました。カンテレ制作の月曜夜10時枠ドラマとして、当初の予定通りのスケジュールで全話が放送されています。
打ち切りドラマの場合、話数が急遽短縮されたり、最終回が駆け足な展開になったりすることが多いですが、エルピスにはそうした兆候は見られません。最終回は冤罪事件の真相に迫る物語の核心が描かれ、物語として完結した形で終了しています。
また、タイトルの「エルピス」はギリシャ神話のパンドラの箱に最後に残った「希望」を意味しており、副題「希望、あるいは災い」はドラマのテーマそのものを体現しています。最終回ではこの「希望か災いか」という問いに対する一つの答えが提示されており、物語構造としても完結しています。
数々のドラマ賞を受賞している
エルピスは放送終了後、国内の主要なテレビドラマ賞を多数受賞しました。主な受賞歴は以下の通りです。
第60回ギャラクシー賞テレビ部門大賞を受賞したほか、同賞の個人賞を主演の長澤まさみが受賞しています。さらに第49回放送文化基金賞テレビドラマ部門最優秀賞、2023年日本民間放送連盟賞番組部門最優秀賞、東京ドラマアウォード2023連続ドラマ部門優秀賞、令和4年度文部科学大臣新人賞(佐野亜裕美)など、放送業界で最も権威ある賞を総なめにしています。
打ち切り作品がこれほど多くの賞を受賞することは考えにくく、業界からの評価の高さが打ち切りではなかったことを裏付けています。
DVD・Blu-ray BOXが発売されている
2023年5月26日にはDVD BOXおよびBlu-ray BOXが発売されました。Amazonのレビューでは4.6つ星(5点満点)、Filmarksでは約26,000件以上のレビューで平均4.1点と、視聴者からの評価も非常に高い水準です。
視聴者からは脚本の完成度やキャストの演技力に対して高い評価が寄せられています。特に主演の長澤まさみの演技は、落ちぶれた女子アナの焦りと再生を繊細に表現したとして、第31回橋田賞を受賞するなど業界内外から絶賛されました。
パッケージ化されて商品展開されていること自体が、制作側がこの作品に商業的価値を認めている証拠です。打ち切り作品の場合、DVD化が見送られるケースも少なくありません。
エルピスの脚本家・渡辺あやの現在
エルピスの脚本を手がけた渡辺あやは、島根県在住の脚本家です。2003年の映画『ジョゼと虎と魚たち』で脚本家デビューし、NHK連続テレビ小説『カーネーション』(2011年)でも朝ドラ初のギャラクシー賞テレビ部門大賞を受賞した実力派です。
エルピスでは初の民放連続ドラマ脚本に挑戦し、再びギャラクシー賞大賞を獲得しました。渡辺はエルピスの脚本料を若者の起業支援に投資したことでも話題になり、「すごく夢のある遣い方ができた」とインタビューで語っています。
プロデューサーの佐野亜裕美はカンテレを経て、現在はフリーランスとして活動しています。メンズノンノのインタビューでは「海外でちゃんと売れるドラマをつくりたい」と今後の展望を語っており、新たなプロジェクトに取り組んでいるとみられます。
エルピスはどこで見られる?配信情報
エルピスを視聴したい方は、動画配信サービスで視聴が可能です。カンテレ公式サイトでは最新の配信先が案内されており、主要な動画配信サービスで取り扱いがあります。
放送当時はTVerで見逃し配信が行われていました。リアルタイム視聴率は低調でしたが、TVerでの再生数は好調だったとされており、配信時代の視聴スタイルに合った作品だったといえるでしょう。
また、前述のDVD BOX(発売日:2023年5月26日)およびBlu-ray BOXも販売中です。全10話を一気に見ることで、冤罪事件の真相に迫る展開をより深く楽しめます。

