『まほろまてぃっく』の最終回は、特にアニメ2期『もっと美しいもの』のラストが「ひどい」と批判されており、ラブコメだった作風が一変して陰鬱な展開になったことが最大の原因です。アニメが原作漫画の完結前に独自の結末を描いたため、原作とは全く異なるラストになったことも混乱を招きました。この記事では、最終回が批判された具体的な理由、打ち切りだったのかの判定、原作者・作画担当の現在の活動について解説します。
| 作品名 | まほろまてぃっく |
|---|---|
| 作者 | 原作:中山文十郎 / 作画:ぢたま(某) |
| 連載誌 | コミックガム(ワニブックス) |
| 連載期間 | 1999年2月〜2004年9月 |
| 巻数 | 全8巻 |
| 打ち切り判定 | 🟢 打ち切りではない(完結済み) |
まほろまてぃっくの最終回がひどいと言われる理由
『まほろまてぃっく』の最終回が批判される際、多くの場合はアニメ2期『もっと美しいもの』(2002年9月〜2003年1月放送、全14話)の最終回を指しています。原作漫画は2004年に全8巻で完結しており、アニメとは異なる結末が描かれました。アニメと原作で最終回の評価が大きく分かれるのが本作の特徴です。
理由1:ラブコメから一転した陰鬱なラスト
『まほろまてぃっく』は、戦闘用アンドロイドのまほろが中学生・美里優の家にメイドとして住み込むラブコメディです。日常パートではお色気やギャグを交えた明るい雰囲気が作品の魅力であり、まほろと優の距離が縮まっていく過程を楽しむファンが多くいました。
ところが、アニメ2期の第13話でまほろは敵のサイボーグ・フェルドランスを道連れに自爆するという衝撃的な展開を迎えます。優を守るための決断とはいえ、それまでのほのぼのとした雰囲気とのギャップがあまりにも大きく、視聴者に強い衝撃を与えました。第12話まではラブコメ要素も健在だっただけに、急転直下の展開は唐突に感じられたのです。
続く最終話の第14話では、突然20年後の世界に飛び、まほろを失った優が荒んだ大人の男として登場します。かつての優しい少年が別人のように変わり果てた姿に、「こんな優は見たくなかった」「荒んだオッサンの優は見たくなかった」という声が多く上がりました。
20年後の優はアンドロイドハンターとして生きており、まほろとの日々とは正反対の殺伐とした世界に身を置いています。ラブコメとして12話以上にわたって積み上げてきたものが、最後の2話で全て覆されたような印象を受けた視聴者は少なくありません。
「なぜ最後だけあんなに暗くしたのか」という疑問は、放送から20年以上経った今でも語り継がれています。ネット上では「最終回がひどいアニメ」の代表例として名前が挙がることがあり、作品の評価に影を落とし続けています。
理由2:声優・原作者も困惑した結末
最終回の評価が厳しいのは視聴者だけではありません。最終回のアフレコ終了後に行われた座談会では、出演声優が全員「あのラストはわからない」と発言したことが明かされています。作品を演じた当事者たちですら、あの結末の意図を理解できなかったということです。
さらに、映像ソフトに付属するブックレットでは、原作の作画担当であるぢたま(某)が楽屋落ち劇場の中で「コメントできない」と明言しています。原作者サイドも、アニメの結末には思うところがあったことがうかがえます。
アニメ2期の監督は山賀博之(GAINAX)が担当しており、制作はGAINAXとシャフトの共同制作でした。原作がまだ連載中の段階で独自のエンディングを描いた結果、原作の方向性とは大きくかけ離れた結末になったと考えられています。
制作側が独自の解釈で物語を閉じようとしたものの、その方向性が視聴者にも演者にも共感されなかったことが、「ひどい」という評価につながっています。GAINAXは『エヴァンゲリオン』でも物議を醸す最終回を作っていますが、まほろまてぃっくではラブコメというジャンルの期待値とのズレが大きかったと言えるでしょう。
理由3:原作漫画との結末の違い
アニメの最終回に納得できなかった視聴者の多くが原作漫画を手に取ったと言われていますが、実際に読むと結末が全く異なることに驚くことになります。アニメは2003年1月に最終回を迎えましたが、原作漫画の連載は2004年9月まで続いており、アニメ放送時点ではまだ物語の途中でした。
つまり、アニメ2期は原作の結末を待たずに独自のラストを作らざるを得なかったという事情があります。2000年代初頭は原作連載中にアニメが追いついてしまい、オリジナル展開で締めくくるケースが珍しくありませんでした。しかし、まほろまてぃっくの場合はそのオリジナル展開があまりにも原作のテイストと異なっていたのです。
原作漫画では、セイント・ヴェスパー・管理者の三者による最終決戦が描かれ、まほろの機能停止までのタイムリミットが迫る中での展開が丁寧に描写されています。最終的にまほろは優と世界を守るために犠牲を払いますが、その後の展開も描かれています。
漫画版では新たなまほろが記憶を取り戻すという救いのある結末が用意されていました。アニメのように20年後の荒んだ優で終わるのではなく、物語としての収束が図られています。まほろと優の絆が報われる形で物語が閉じられたのです。
このため、「アニメの最終回はひどかったが、漫画版を読んで救われた」という感想を持つファンも少なくありません。アニメだけを視聴した人と、原作も読んだ人とでは、作品全体への評価が大きく変わる作品です。
まほろまてぃっくは打ち切りだったのか?
最終回の評価が低いことから「打ち切りだったのでは?」と考える人もいますが、結論として『まほろまてぃっく』は打ち切り作品ではありません。
漫画版は全8巻で完結
原作漫画はコミックガム(ワニブックス)にて1999年2月から2004年9月まで約5年半にわたって連載されました。単行本は全8巻が刊行されており、打ち切りによる突然の終了ではなく、物語の結末まで描かれた上での完結です。
連載誌であるコミックガムはワニブックスが発行する月刊漫画雑誌で、まほろまてぃっくは同誌の看板作品の一つでした。約5年半という連載期間は、月刊誌の連載としては十分な長さです。
2006年6月からは新装版も刊行されており、完結後も一定の人気を保っていたことがわかります。打ち切り作品が新装版として再刊行されることは通常ありません。
アニメも全話放送されている
アニメは1期(2001年10月〜2002年2月、全12話)と2期『もっと美しいもの』(2002年9月〜2003年1月、全14話)がいずれも全話放送されています。さらに2003年には特別編、2009年には『ただいま◆おかえり』も制作されました。
制作を担当したのはGAINAXとシャフトという、当時のアニメ業界でも実力派のスタジオです。GAINAXは『新世紀エヴァンゲリオン』で知られ、シャフトはのちに『魔法少女まどか☆マギカ』や『〈物語〉シリーズ』を手がけることになります。
1期のDVD第1巻は約16,000枚を売り上げており、2000年代初頭のアニメとしては好調な数字でした。2期も約11,000枚の売上があり、商業的にも成功した作品です。
打ち切りどころか、当時のアニメ作品としてはかなりの人気を誇っていたと言えます。最終回への批判は作品の打ち切りとは無関係で、あくまでストーリーの方向性に対する不満です。
「メイドもの」の先駆的作品としての評価
『まほろまてぃっく』は、アニメ・漫画における「メイドキャラクター」ジャンルの先駆的かつ代表的な作品として知られています。戦闘用アンドロイドがメイドとして日常生活を送るという設定は、後続の多くの作品に影響を与えました。
PS2用ゲームソフトがコナミから発売されたほか、GAINAXからもPC用ゲームがリリースされるなど、幅広いメディア展開がなされました。アニメ1期・2期に加えて特別編が2本制作されている点からも、シリーズとしての商業的価値が高かったことがわかります。
打ち切り作品でこれほどのメディアミックスが実現することは考えにくいでしょう。最終回への批判が目立ちますが、作品自体は当時のアニメ・漫画ファンに広く支持されていた人気作です。「最終回がひどい」という評価は、裏を返せばそれだけ多くの人が作品に愛着を持ち、結末に期待していたことの表れとも言えます。
まほろまてぃっくの作者の現在
『まほろまてぃっく』は原作・中山文十郎、作画・ぢたま(某)の二人体制で制作されました。完結後、それぞれ異なる活動を続けています。
ぢたま(某)の現在の活動
作画を担当したぢたま(某)は、『まほろまてぃっく』完結後に代表作となる『kiss×sis』(講談社『別冊ヤングマガジン』→『ヤングマガジン』→『月刊ヤングマガジン』)を2005年から連載しました。義理の姉弟によるラブコメディとして人気を博し、TVアニメ化・OAD化もされ、全25巻で完結しています。
その後、『小学生がママでもいいですか?』(講談社)を2017年から連載し、2020年に完結しました。転生ものとコメディを組み合わせた作品で、まほろまてぃっくから続くぢたま(某)のラブコメ路線の延長線上にある作品です。
現在は『日陰魔女は気づかない 〜魔法学園に入学した天才妹が、姉はもっとすごいと言いふらしていたなんて〜』を秋田書店のマンガクロスで2023年12月から連載中です。FANBOXでも活動しており、精力的に創作を続けています。
中山文十郎の活動
原作を担当した中山文十郎は、『まほろまてぃっく』後にもいくつかの作品で原作を手がけています。『シャイナ・ダルク 〜黒き月の王と蒼碧の月の姫君〜』(作画:緋賀ゆかり、アスキー・メディアワークス、2006年〜2009年)は、ファンタジー作品として全4巻が刊行されました。
また、『仕上げに殺陣あり』(作画:今ノ夜きよし)をコミックガムにて2007年から2011年まで連載しています。『まほろまてぃっく』と同じワニブックスのコミックガムでの連載であり、編集部との関係が続いていたことがうかがえます。
小説家・漫画原作者として複数の作品に携わっていますが、近年の新作についての公式な発表は確認されていません。1964年生まれで、『まほろまてぃっく』のほかにライトノベル作品なども手がけています。
まほろまてぃっくのアニメは原作の何巻まで?
アニメ1期(全12話)は原作漫画の序盤から中盤にかけてのエピソードを映像化しています。アニメ2期『もっと美しいもの』(全14話)は原作の中盤以降を扱っていますが、前述の通り原作の連載が完結する前に放送が終了したため、終盤はアニメオリジナルの展開となっています。
原作漫画は全8巻あり、アニメで描かれなかった終盤の展開やアニメとは異なる結末を楽しみたい場合は、漫画の5巻あたりから読むのがおすすめです。特にアニメの最終回に不満を感じた方は、原作を読むことで作品への印象が変わるかもしれません。アニメ版では省略されたキャラクターの掘り下げや伏線の回収も、原作では丁寧に描かれています。
なお、2009年に制作された特別編『ただいま◆おかえり』はアニメ2期の最終回とは異なる視点から物語を補完する内容になっており、こちらも合わせて視聴するとアニメ版の理解が深まります。
まほろまてぃっくを読むなら電子書籍がお得
『まほろまてぃっく』は原作漫画が全8巻、新装版も全8巻で刊行されています。アニメの最終回に納得がいかなかったという方は、原作漫画を読むことで全く異なる結末を楽しむことができます。アニメでは描かれなかった救いのあるラストが待っています。
全8巻という巻数は一気読みにもちょうどよいボリュームです。電子書籍なら場所を取らず、すぐに読み始められます。2000年代の作品ですが電子書籍版が各ストアで配信されているため、紙の本が手に入りにくくなっている現在でもすぐに購入可能です。

