『もやしもん』は打ち切りではなく、作者・石川雅之氏の意向により全13巻で完結した作品です。連載誌の移籍や一部の伏線が未回収のまま終了したことが「打ち切りでは?」という誤解を招きました。この記事では、もやしもんが打ち切りと言われた理由と、打ち切りではない根拠を詳しく解説します。
| 作品名 | もやしもん |
|---|---|
| 作者 | 石川雅之 |
| 連載誌 | イブニング(2004年〜2013年)→ 月刊モーニングtwo(2013年〜2014年) |
| 連載期間 | 2004年16号〜2014年3月号 |
| 巻数 | 全13巻 |
| 打ち切り判定 | 🟢 打ち切りではない(完結済み) |
もやしもんが打ち切りと言われた理由
もやしもんの打ち切り理由を検索する人は少なくありませんが、実際には打ち切りではありません。では、なぜ打ち切り説が広まったのでしょうか。主に3つの誤解が原因です。
理由1:イブニングからモーニングtwoへの突然の移籍
打ち切り説が広まった最大の原因は、2013年に連載誌が『イブニング』から『月刊モーニングtwo』へ移籍したことです。『もやしもん』は2004年の連載開始から約9年間、『イブニング』で連載されていました。長年の読者にとって、突然の掲載誌変更は衝撃的な出来事でした。
移籍は2013年の『イブニング』10号を最後に行われ、同年8月号から『月刊モーニングtwo』での連載が始まりました。しかし、この移籍情報を見逃した読者が多く、「イブニングから消えた=打ち切られた」と誤解する人が続出しました。
隔週刊誌から月刊誌への移籍は掲載ペースの変更を意味します。それまで月に2回読めていた作品が月1回になったことで、読者との接点が減りました。移籍先の『月刊モーニングtwo』は『イブニング』と比べて発行部数が少なく、書店での入手が難しい場合もあったため、移籍を知らないまま「連載が終わった」と思い込む人も少なくなかったのです。
さらに、当時はSNSでの情報拡散が現在ほど活発ではなかったため、移籍告知が読者全体に行き届かなかった面もあります。結果として、『イブニング』の誌面からもやしもんが消えたタイミングで「打ち切り」という誤った情報がネット上に広まりました。
実際には、同じ講談社内での移籍であり、編集部の判断や作者の制作ペースに合わせた掲載誌変更に過ぎませんでした。月刊誌への移籍は、石川氏がより時間をかけて作品を仕上げられる環境を整えるための選択だったと考えられています。
理由2:伏線が未回収のまま最終回を迎えた
もやしもんの最終回に対して「ひどい」「中途半端だ」という声が上がった背景には、一部の伏線が回収されないまま物語が終わったことがあります。作中で長期にわたって張り巡らされた伏線のうち、樹教授が主催するゼミナールの全容やゼミメンバーたちのその後の進路については明確に描かれませんでした。
また、菌が擬人化されて主人公・沢木惣右衛門直保と会話する設定は本作の大きな魅力でしたが、この「菌が見える能力」の詳しいメカニズムや限界について掘り下げられないまま完結しています。沢木の能力の秘密がどこから来たのか、今後どうなるのかを知りたかった読者にとって、消化不良な結末に映ったのは無理もありません。
物語の終盤では、沢木の大学1年生としての日々が「春祭」のエピソードで締めくくられました。しかし、それまでに登場した多くのキャラクターや伏線がきれいに回収されたとは言い難く、「まだ描くべきことがあったのでは」「編集部に無理やり終わらせられたのでは」という疑念が読者の間に広がりました。
しかし、作者の石川雅之氏はこれについて明確な説明をしています。石川氏は自身のTwitter(現X)で「もやしもんは目立たない乍らも沢木のお話なのですが、自分の中では『沢木の1年生のお話』という考え」だと述べています。つまり、主人公の大学1年生としての物語は計画通りに完結しており、伏線の未回収は打ち切りの結果ではなく、当初からの構想の範囲内だったのです。
石川氏は「次号のモーツーで沢木は2年になります。僕はそれ以降のお話を用意していませんのです」とも語っており、連載終了は作者自身が決めたタイミングであったことが明確です。未回収の伏線は「描けなかった」のではなく、「1年生編の範囲外」として意図的に残されたものでした。
理由3:全13巻という巻数が短いと感じられた
もやしもんは全13巻・全159話で完結しました。石川氏自身も「159話、全13巻という中途半端さもまたもやしもんっぽいのかなとw」とTwitterで冗談交じりに語っています。作者自身が「中途半端」という言葉を使ったことで、かえって「やはり打ち切りだったのでは」という憶測を呼んだ面があります。
2004年から2014年まで約10年間の連載期間を考えると、全13巻は確かにコンパクトな印象を受けるかもしれません。同時期に『イブニング』や講談社の青年誌で連載されていた作品の中には、20巻〜30巻を超えるものも珍しくなかったため、比較して少ないと感じる読者がいたのも自然なことです。
しかし、巻数が少ない理由は単純です。もやしもんは隔週連載の『イブニング』で月に2話ペース、その後は月刊誌で月1話ペースという掲載頻度でした。週刊連載の作品と比べれば1年あたりの話数が少なくなるのは当然であり、10年間で159話・全13巻という数字は掲載ペースに見合ったものです。
また、10巻以下で完結した作品が打ち切りとは限らないのと同様に、13巻という巻数も打ち切りの証拠にはなりません。石川氏が語った「中途半端さ」はあくまで自虐的なユーモアであり、連載が外部の圧力で終了したことを示唆するものではありませんでした。
「キリのいい巻数ではない=打ち切り」という発想は、週刊少年漫画の感覚に引きずられたものかもしれません。青年漫画は連載ペースも物語の構成も週刊少年漫画とは異なり、10巻台前半で完結する作品は決して珍しくないのです。
もやしもんが打ち切りではない根拠
打ち切り説はあくまで誤解に基づくものです。以下の3つの根拠から、もやしもんが打ち切りではないことは明らかです。
作者・石川雅之が自ら連載終了を発表
最も決定的な根拠は、作者の石川雅之氏自身が連載終了を事前に告知したことです。2013年12月、石川氏はTwitterに「お知らせ四コマ」と題した漫画を投稿し、もやしもんの連載が次号で最終回を迎えることを読者に伝えました。この告知はTogetterにもまとめられ、大きな反響を呼びました。
編集部から一方的に打ち切りを通告された場合、作者が自らSNSで四コマ漫画まで描いて前向きに告知を行うことは考えにくいでしょう。石川氏の告知は終始穏やかなトーンで、編集部との対立や不本意な終了を示唆する要素は一切ありませんでした。
ORICONニュースやナリナリドットコムをはじめとする複数のメディアも「作者がTwitterで連載終了を発表」と報じています。報道の文面からも、打ち切りではなく作者主導の完結であったことが読み取れます。
累計800万部を突破した大ヒット作品
もやしもんは累計発行部数800万部(2017年4月時点)を記録しています。青年漫画として非常に高い売上を誇る作品であり、単巻の最高売上は7巻の約51万部に達しました。
出版社にとって売上好調な作品を打ち切ることは、ビジネスの観点からまずあり得ません。800万部という数字は、講談社の青年漫画の中でもトップクラスの実績です。全13巻で800万部ということは、1巻あたり平均約61万部という高水準であり、出版社が手放す理由がない作品だったことがわかります。
連載終了後も単行本は継続して販売され、電子書籍化もされています。2025年には続編『もやしもん+』の紙版が10万部を突破するなど、シリーズとしての人気は現在も健在です。打ち切り作品であれば、このような長期にわたる安定した販売実績は通常見られません。
受賞歴とメディアミックス展開の充実
もやしもんは2008年に第12回手塚治虫文化賞マンガ大賞と第32回講談社漫画賞一般部門をダブル受賞しています。手塚治虫文化賞マンガ大賞は日本の漫画賞の中でも最も権威ある賞の一つであり、この受賞だけでも作品の高い評価は疑いようがありません。
メディアミックスも非常に充実しています。TVアニメ第1期が2007年10月から12月まで全11話で放送され、第2期『もやしもん リターンズ』も2012年7月から9月まで全11話で放送されました。さらに2010年には実写ドラマ版も制作されています。アニメ・ドラマともにフジテレビの「ノイタミナ」枠での放送であり、出版社・放送局が力を入れていた作品であることがわかります。
実写ドラマは「ノイタミナ」枠初の実写作品として大きな話題を呼びました。中村優一氏が主人公・沢木直保を、加藤夏希氏や黒沢年雄氏がキャストに名を連ねるなど、本格的な制作体制で作られた作品です。これだけのメディア展開が行われた作品が、売上不振を理由に打ち切られるとは考えられません。
もやしもんの作者・石川雅之の現在
もやしもんの完結後も、作者の石川雅之氏は精力的に漫画家として活動を続けています。
石川雅之の連載作品
石川雅之氏は、もやしもん終了後の2015年から惑星を擬人化したSF漫画『惑わない星』を連載しました。連載は『月刊モーニングtwo』で始まり、その後『モーニング』に移籍。2024年に全9巻で完結しています。もやしもんでは菌の擬人化を描いた石川氏が、今度は惑星を擬人化するという独自の切り口で新たなファン層を獲得しました。
そして2024年10月、ファン待望のニュースが発表されました。講談社『月刊アフタヌーン』2025年1月号より、もやしもんの続編『もやしもん+(プラス)』の連載が開始されたのです。2024年12月号には特別読み切りも掲載されました。
『もやしもん+』は前作の最終話のラスト「春祭」の場面から物語が始まり、沢木をはじめとするおなじみのキャラクターたちの新たな物語が描かれています。約10年の時を経て続編が始まったこと自体が、もやしもんが打ち切りではなかったことの何よりの証明でしょう。
なお、石川氏はこれ以外にも『純潔のマリア』(2008年〜2013年、全3巻)やクラシック音楽の歴史漫画の描き下ろしなど、多彩なジャンルで活躍しています。
もやしもんのアニメは何話まで?続きは原作の何巻から?
もやしもんはTVアニメが2シーズン、さらに実写ドラマも制作されています。それぞれの概要と原作との対応を整理します。
アニメ第1期・第2期と実写ドラマ
アニメ第1期は2007年10月12日から12月21日までフジテレビ「ノイタミナ」枠で放送されました。全11話で、原作序盤の農大入学からオクトーバーフェスト編あたりまでのエピソードが描かれています。
第2期『もやしもん リターンズ』は2012年7月6日から9月16日まで同じノイタミナ枠で全11話が放送されました。第1期から約5年のブランクを経ての続編であり、フランス編を中心としたストーリーが展開されています。
2010年にはノイタミナ枠初の実写作品として、実写ドラマ版も放送されました。主演は中村優一氏(沢木直保役)で、菌の擬人化表現をCGで再現するなど意欲的な制作が行われています。
アニメ2シーズンで描かれた範囲は原作全13巻の一部です。アニメの続きや、アニメでは描かれなかったエピソードが気になる方は、原作漫画を読むことでより深く物語を楽しめます。全13巻で完結済みのため、一気読みにも適しています。
もやしもんを読むなら電子書籍がお得
もやしもんは全13巻で完結済みのため、これから読み始める方は全巻まとめて購入するのがおすすめです。紙の単行本に加えて電子書籍版も各電子書籍ストアで配信されており、場所を取らずにスマホやタブレットでいつでも読み返すことができます。
全13巻を一気に購入する場合、電子書籍であればセールやクーポンを活用できることが多く、紙版よりもお得に揃えられる可能性があります。菌たちのかわいらしいビジュアルや発酵・醸造の知識が詰まった本作は、何度読み返しても新しい発見がある作品です。
また、続編の『もやしもん+』も2025年から月刊アフタヌーンで連載が始まっています。前作を読み終えてから続編に進むことで、沢木たちの新たな物語をより一層楽しむことができるでしょう。

