『創世のタイガ』は打ち切りではなく、掲載誌を移籍して現在も連載が続いています。イブニングの休刊に伴い第1部が終了したことや、出版社をまたぐ移籍という異例の経緯が「打ち切り」という誤解を生みました。この記事では、打ち切りと言われた理由と実際の連載状況、作者・森恒二さんの現在の活動について解説します。
| 作品名 | 創世のタイガ |
|---|---|
| 作者 | 森恒二 |
| 連載誌 / 放送局 | イブニング(講談社)→ ヤングアニマル / ヤングアニマルZERO(白泉社) |
| 連載期間 | 2017年〜連載中(第1部:2017年〜2023年 / 第2部:2023年〜) |
| 巻数 | 既刊13巻(14巻は2026年4月28日発売予定) |
| 打ち切り判定 | 🔵 連載中(打ち切りではない) |
創世のタイガが打ち切りと言われた理由
『創世のタイガ』を検索すると「打ち切り」「打ち切り理由」といったキーワードが表示されます。しかし実際には打ち切りではなく、掲載誌の事情による移籍を経て連載が続いています。ここでは、なぜ打ち切りと誤解されたのか、その理由を3つ解説します。
理由1:イブニングの休刊で第1部が終了した
打ち切り説が広まった最大の原因は、連載誌『イブニング』(講談社)の休刊です。講談社は2022年12月にイブニングの休刊を発表し、2023年2月28日発売の6号が最終号となりました。創刊から約20年の歴史を持つ青年漫画誌の突然の幕引きは、読者に大きな衝撃を与えました。
『創世のタイガ』もこの影響を受け、2023年4号をもって「第一部完」という形で一旦区切りを迎えました。煽り文には「続きは森先生のTwitterを見てくれ」という異例のメッセージが添えられていたため、読者の間に「このまま終わるのでは」という不安が広がりました。
Yahoo!知恵袋でも「創世のタイガは連載終わったのですか?」という質問が投稿されるなど、連載の行方を心配する声が多く見られました。掲載誌がなくなったこと自体が「打ち切り」と受け取られやすい状況だったのです。
実際にはイブニング休刊の影響で連載の場が失われただけであり、作品の人気低下や編集部の判断による打ち切りとは全く異なる経緯です。イブニング自体が雑誌の売上低迷や電子書籍シフトの流れを受けて休刊に至ったもので、掲載作品の質とは関係のない出版社の経営判断でした。
イブニングでは他にも多くの作品が同様に連載終了や移籍を迫られています。一部の作品は講談社の『モーニング』や『コミックDAYS』に移籍し、一部は連載終了となりました。『創世のタイガ』だけが打ち切られたわけではなく、掲載作品すべてが影響を受けた事態だったのです。
理由2:講談社から白泉社への異例の出版社間移籍
通常、連載誌が休刊になった場合、同じ出版社内の別の雑誌に移籍するのが一般的です。講談社であれば『モーニング』『アフタヌーン』『月刊モーニングtwo』などが移籍先の候補になります。実際にイブニング休刊時にも、複数の作品が講談社の他誌に移籍しました。
しかし『創世のタイガ』は、講談社のイブニングから白泉社のヤングアニマルへという出版社をまたぐ移籍を行いました。コミックナタリーの報道によると、2023年3月24日発売のヤングアニマル7号から第2部の連載がスタートしています。その後、同年6月からはヤングアニマルZEROに移って連載が継続されました。
出版社間の移籍は漫画業界では非常に珍しいケースです。そのため「講談社内で引き受ける雑誌がなかった=人気が低かったのでは」「実質的に打ち切りだったのでは」という憶測がネット上で生まれました。
実際には、作者の森恒二さんが故・三浦建太郎さんの遺作『ベルセルク』の監修を務めており、白泉社(ヤングアニマル発行元)とすでに深い関係があったことが移籍の背景にあります。森恒二さん自身がMANTANWEBの取材に対し「物語の最後まで描き切りたい」とコメントしており、移籍は作品を完結させるための前向きな判断だったことがわかります。
つまり、出版社をまたぐ移籍は作品の弱さではなく、むしろ作者と白泉社の信頼関係に基づく特別な措置でした。
理由3:並行連載と新刊ペースの遅さによる誤解
森恒二さんは『創世のタイガ』の連載と並行して、複数の作品を手がけています。特に2023年11号からはヤングアニマル本誌で新連載『D.ダイバー』をスタートさせており、この動きが「前の作品が終わって新作が始まった」という誤解を助長しました。
「新しい作品が始まった=前の作品は打ち切りになったのでは?」という連想は、漫画ファンの間ではよくある推測パターンです。しかし実際には、『創世のタイガ』はヤングアニマルZERO、『D.ダイバー』はヤングアニマル本誌と、それぞれ別の雑誌で並行して連載されています。
さらに、森恒二さんは同時期に『ベルセルク』の監修という大きな仕事も抱えています。森恒二さん自身がXで「自分の連載、ベルセルク監修と全力で挑んでいく」と投稿しているように、3つのプロジェクトを同時進行しているのです。
このような多忙さから、『創世のタイガ』の単行本の刊行間隔が長くなる傾向にあります。新刊が出ない期間が続くと、情報を追いかけていない読者は「もう終わったのでは」と感じやすくなります。これが打ち切り説を根強くしている一因です。
加えて、ヤングアニマルZEROはヤングアニマル本誌と比べて知名度がやや低い雑誌です。イブニングやヤングアニマル本誌で作品を追っていた読者が、移籍先のヤングアニマルZEROの存在を知らず、「連載が消えた」と思い込んでしまうケースも考えられます。
創世のタイガが打ち切りではない根拠
ここまで打ち切りと誤解された理由を見てきましたが、『創世のタイガ』は打ち切りではありません。その根拠を複数の角度から確認していきます。
現在もヤングアニマルZEROで連載が続いている
『創世のタイガ』第2部は2023年6月1日号からヤングアニマルZERO(白泉社)で連載中です。イブニングが2023年2月に休刊し、わずか1か月後の3月にはヤングアニマルで連載が再開されました。この速さは、移籍に向けた準備が休刊前から進んでいたことを示しています。
掲載誌の休刊による移籍は「打ち切り」とは根本的に異なる概念です。打ち切りとは、作品の人気低迷や売上不振を理由に編集部が連載終了を決定するものです。一方、本作は掲載誌そのものがなくなったために別の雑誌へ移ったにすぎません。
しかも移籍先は同じ出版社内ではなく白泉社です。他社がわざわざ作品を引き受けるということは、商業的に見込みがあると判断されたことを意味しています。打ち切り作品にそのような措置が取られることはまずありません。
単行本の刊行が継続している
単行本は既刊13巻まで発売されており、2026年4月28日には14巻の発売が予定されています。打ち切り作品であれば、移籍後にここまで継続的に新刊が刊行されることはありません。
第1部は講談社のイブニングKCレーベルから全11巻が刊行され、第2部からは白泉社のヤングアニマルコミックスに移行しています。出版社が変わっても刊行が途切れていないことは、作品が安定した読者基盤を持っている証拠です。
なお、第1部11巻+第2部(12巻〜)という構成は、物語が第1部で打ち切られたのではなく、意図的に部を分けて継続していることを示しています。
作者が「最後まで描き切る」と明言している
森恒二さんはヤングアニマルへの移籍時にMANTANWEBの取材に対し、「物語の最後まで描き切りたい」とコメントしています。この発言は移籍を報じた複数のメディアで引用されました。
打ち切りの場合、作者が「最後まで描き切る」と公の場で宣言し、それを出版社が後押しする形になることは通常ありません。白泉社が森恒二さんの意思を受け入れて連載の場を提供したという事実が、打ち切りではないことの明確な根拠です。
また、森恒二さんのXアカウントでは『創世のタイガ』の近況が定期的に発信されており、連載が継続していることを作者自身が発信し続けています。
作品の内容的にも物語は続いている
『創世のタイガ』は、大学生がオーストラリアの洞窟で原始時代にタイムスリップし、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人の生存をかけた戦いに巻き込まれるというSFサバイバル作品です。主人公のタイガをはじめ、アラタ、リク、レン、リカコ、ユカ、チヒロといった大学生グループが原始時代の過酷な環境で生き抜く姿が描かれます。
第1部はナチス残党率いるネアンデルタール人との激戦の末に、主人公タイガがホモ・サピエンスの部族の長の座を継ぐ形で幕を閉じました。しかし、現代に帰る方法は見つかっておらず、物語全体としてはまだ途中です。
第2部ではその後の展開が描かれており、作品としての完結には至っていません。もし打ち切りであれば、第1部の時点で急いで物語をたたむ展開になるはずですが、「第一部完」として区切りをつけた上で第2部に続けている構成は、計画的な連載継続を裏付けています。
森恒二さんの過去作を見ても、『ホーリーランド』は全18巻、『自殺島』は全17巻と、いずれもしっかり物語を描き切って完結させています。途中で投げ出すタイプの作家ではないことが、過去の実績からも読み取れます。
創世のタイガの作者・森恒二の現在
打ち切り説の背景を理解するうえで、作者である森恒二さんの現在の活動を知ることも重要です。森恒二さんは2026年現在、漫画界で非常に多忙な日々を送っています。
森恒二の連載中の作品
森恒二さんは2026年現在、以下の3つのプロジェクトを並行して手がけています。
- 『創世のタイガ』第2部(ヤングアニマルZERO連載中)
- 『D.ダイバー』(ヤングアニマル 2023年11号〜連載中)
- 『ベルセルク』監修(故・三浦建太郎さんの遺志を継ぎ、スタジオ我画とともに制作を監修)
『D.ダイバー』は明晰夢をテーマにした作品で、2024年には単行本1巻が発売されています。森恒二さんのXアカウント名が「森恒二 Dダイバー 創世のタイガ ベルセルク監修」となっていることからも、3つの仕事を並行している様子がうかがえます。
これだけの仕事量を抱えているため、各作品の刊行ペースが緩やかになるのは自然なことです。新刊の間隔が空いているのは打ち切りではなく、作者が多忙であるためです。
森恒二の代表作と経歴
森恒二さんは1966年生まれ、東京都出身のベテラン漫画家です。『ホーリーランド』(2000年〜2008年、ヤングアニマル)はストリートファイトをリアルに描いた代表作で、ドラマ化もされました。
続く『自殺島』(2008年〜2016年、ヤングアニマル)は自殺未遂者たちが無人島でサバイバルする物語で、こちらも高い評価を得ています。サバイバルや極限状態をテーマにした作風は『創世のタイガ』にも受け継がれています。
故・三浦建太郎さんとは長年の親友として知られ、2021年の三浦さん逝去後は『ベルセルク』の監修を引き受けました。ベルセルクの監修について森恒二さんは、三浦さんが「蝕」と同じくらい悩み苦しんだ章の制作が特に難しいとXで語っています。
2026年1月のX投稿では「今年も自分の連載、ベルセルク監修と全力で挑んで参ります」と意気込みを語っており、精力的に活動を続けています。漫画家としてのキャリアは26年以上に及び、現在も第一線で活躍するベテランです。
創世のタイガを読むなら電子書籍がお得
『創世のタイガ』は既刊13巻と手を出しやすい巻数です。第1部(全11巻)は講談社のイブニングKCから、第2部(12巻〜)は白泉社のヤングアニマルコミックスから刊行されています。
紙の書籍の場合、出版社が異なるため書店で一度にまとめて見つけにくいことがあります。電子書籍なら第1部・第2部ともにまとめて購入でき、出版社が異なっていても一つのアプリで通して読めるのが大きなメリットです。全巻購入する場合、1巻あたり700円前後で13巻分となります。
第2部から読み始めると第1部の展開を前提とした物語が続くため、これから読む方は第1部の1巻からの購入をおすすめします。原始時代のサバイバルという独特の世界観に引き込まれる作品です。
なお、第1部(講談社刊)と第2部(白泉社刊)はレーベルが異なりますが、電子書籍ストアでは「創世のタイガ」で検索すれば両方の巻がまとめて表示されます。紙の書店では別の棚に置かれていることもあるため、全巻揃えるなら電子書籍の方が探しやすいでしょう。

